当院では、スポーツによるケガの改善から、慢性的な腰痛・膝痛・股関節痛など様々な症状に対応しており、多くのアスリートのグロインペイン(鼠径部痛症候群)治療に携わってきました。特にサッカー、フットサル、陸上競技、ラグビーなど、走る、蹴る、捻る動作の多い競技で起こりやすいこの症状ですが、適切なセルフケアにより症状の改善と予防が期待できます。
本記事では、当院での豊富な臨床経験をもとに、ご自宅でできる効果的なセルフケア方法をご紹介します。
グロインペインとは?
グロインペインとは、運動時に鼠径部(そけいぶ)周囲に痛みをきたす疾患で、症状を引き起こしている本当の原因を特定しにくいため「グロインペイン症候群(鼠径部痛症候群)」と呼ばれています。
股関節周辺の筋力バランスの低下や過剰なトレーニング、不適切なフォームでの運動などにより股関節周辺の炎症が起こることが多く、放置すると慢性化しやすい症状です。
当院に来院される患者様の多くは、「他の整骨院や病院に通っていても中々改善できない」「良くなったと思ったらすぐに痛みがぶり返してくる」というお悩みを抱えていらっしゃいます。それは、これまで受けて来た電気・マッサージ・痛み止め・シップなどの処置では、症状の本当の原因にアプローチ出来ておらず、根本から改善出来ていないからです。
グロインペインの主な症状
グロインペインでは、以下のような症状が現れます:
- 鼠径部(足の付け根)の痛みや違和感
- 運動時、特にキック動作や方向転換時の痛みの増強
- 内転筋(内もも)の張りや痛み
- 股関節の可動域制限
- 走行時やジャンプ動作での違和感
- 長時間の座位後の痛み
- 起床時の股関節の硬さや痛み など
これらの症状は、初期段階では運動時のみに現れますが、進行すると日常生活動作にも支障をきたすようになります。
グロインペインの原因
症状の本当の原因となる部分は、人それぞれ異なりますが、痛みがある表面的な部分とは別のところにあります。主な原因を見てみると:
- 骨盤の歪み:骨盤が傾くことで股関節への負担が増加
- 背骨の歪み:体幹の不安定性から下半身への負担増加
- 重心バランスの崩れ:片側への負担の偏り
- 筋肉の緊張、歪み:特定の筋肉の過緊張や柔軟性低下
- 血流不順:筋肉への酸素供給不足による回復力の低下
当院では、初回のカウンセリング・検査に時間を掛け、どこに原因があるかを特定してから施術に移ります。
自宅でできるセルフケア方法
ここからは、ご自宅で実践できる具体的なセルフケア方法をご紹介します。
基本の呼吸法で体幹を安定させる
グロインペインの改善には、股関節周囲の筋肉だけでなく、体幹の安定性が非常に重要です。正しい呼吸法を行うことで、お腹周りのインナーマッスルが自然と活性化され、骨盤の安定性が高まります。
また、呼吸が安定するとリラックス効果もあるので、就寝前に実施することで睡眠でしっかり疲れがとれるようになります。
①インプリント – 基本の呼吸法
やり方
- 仰向けで膝を立てて寝る
- 腰を床にぎゅっと押し付ける
- 鼻から10秒吸う→10秒吐く→10秒止める
- 5〜10回繰り返す
コツ 吐くときは肋骨が下に降りるイメージで!朝起きた時や寝る前がおすすめです。
💡 腹筋が緩んでしまう方は うつ伏せで肘をついた状態で呼吸練習してから、再チャレンジしてみて。
②ファーストポジション
やり方
- 四つん這いから肘と手のひらを床につける
- 背中を丸めて頭も下げる
- この姿勢で鼻呼吸を1分間
- 腹筋の下の方に力を入れる意識で
③キャットブリージング
やり方(段階的に)
- 四つん這いで背中を丸めて鼻呼吸
- 膝を持ち上げて(足は床と垂直)鼻呼吸
- 膝を伸ばして頭を前に出して鼻呼吸
注意点:苦しくなったらすぐストップ!無理は禁物です。
効果
体幹が安定→股関節の負担軽減→グロインペイン改善・予防
毎日コツコツ続けることが大切です。
日常生活での注意点とケア方法
入浴による血流改善
運動後の入浴は血行が良くなるため、自宅でできる効果的なリカバリーの手段です。
推奨入浴方法:
- 湯温:38-40度のぬるめのお湯
- 時間:最低でも10分、できれば15-20分程度
- 入浴中に軽いストレッチを行うとより効果的
- 入浴後は十分な水分補給を
姿勢への意識
日常生活での姿勢も、グロインペインの発症や悪化に関係します
- 長時間の座位では、定期的に立ち上がり股関節を動かす
- 椅子に座る際は、骨盤を立てて座る
- 片足に体重をかけて立つ癖を改善する
- カバンを持つ手を左右交互に変える
専門的な治療が必要な場合
ストレッチや入浴など、自分でできることには限界があります。以下のような症状がある場合は、早めに専門家にご相談ください
- セルフケアを2-3週間続けても症状が改善しない
- 痛みが日常生活に支障をきたしている
- 夜間痛があり、睡眠が妨げられる
- 痛みが徐々に強くなっている
- 適切な運動復帰の時期を知りたい
- 根本的な原因を特定したい
当院では、本当の原因に対して的確なアプローチを施すことによって、長年お悩みの症状も根本改善へ導く事が可能です。多くの臨床経験を積んできた施術家が、お一人お一人の状態に合わせた施術とアドバイスを提供いたします。
まとめ
グロインペインは適切なセルフケアにより症状の改善が期待できる疾患ですが、グロインペイン症候群は拘縮までおこると治りにくくなってしまうため、早期の適切な対応が重要です。
本記事でご紹介したセルフケア方法を日常的に実践し、予防を心がけましょう。しかし、セルフケアで改善が見られない場合や、症状が悪化する場合は、当院にご相談ください。
当院では、自宅で簡単に出来るセルフケアや栄養指導などにも力をいれております。施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体を取り戻しましょう。
セルフケアと専門的な治療を組み合わせることで、より早期の改善と再発予防が期待できます。グロインペインでお悩みの方は、まずはセルフケアから始めて、必要に応じて専門家のサポートを受けることをお勧めします。







