「外反母趾があるけれど、歩き方も関係しているの?」
「長く歩くと親指の付け根が痛くなる」
「サッカーやランニングをすると外反母趾の部分が痛む」
このような方はいませんか?
外反母趾というと、「親指が曲がっている」という足の形に目が向きがちです。
しかし、実際に歩いたり走ったりするときには、足だけで身体を支えているわけではありません。
足首、膝、股関節、骨盤などが連動して動き、その中で足に体重がかかります。
外反母趾のある方では、歩行時の足部や下肢の動きに変化がみられることも報告されています。
今回は、外反母趾と歩き方の関係、そしてスポーツや長時間歩行で痛みが出るときに確認したいポイントについて解説します。
外反母趾では「歩く」という動作も変化することがあります
歩くとき、足は毎回同じように地面へ体重をかけているわけではありません。
かかとから接地し、足の裏全体で身体を支え、最後には足の指を使って地面を押し出します。
この一連の動作がスムーズに行われることで、歩くことができます。
ところが外反母趾があると、親指の付け根や足の前側にかかる力の分布が変化することがあります。
研究をまとめた報告でも、外反母趾のある方では、歩行速度や足部・足首周辺の動き、足裏にかかる力などに違いがみられています。
ただし、これは「外反母趾の人は全員この歩き方になる」という意味ではありません。
大切なのは、自分の場合にどのような動きが起きているのかを確認することです。
長く歩くと痛くなるのはなぜ?
外反母趾の痛みが「歩き始め」よりも「長く歩いた後」に強くなる方もいます。
これは、一回一回の負担がそれほど大きくなくても、歩く回数が増えることで足への負荷が積み重なるためです。
例えば、
-
通勤や通学で毎日長時間歩く
-
仕事で立っている時間が長い
-
買い物などで長時間歩く
-
ウォーキングを習慣にしている
-
スポーツの練習時間が長い
といった場合には、足にかかる負担を無視できません。
特に、歩き始めは問題ないのに、時間が経つにつれて親指の付け根が痛くなる場合は、「どのくらい歩いたら痛みが出るのか」を把握しておくと、状態を確認するうえで役立ちます。
スポーツをしている人は、さらに足への負担が増えます
外反母趾は、スポーツをしている方にも起こります。
例えばサッカーでは、走るだけでなく、急停止や方向転換、キックなどを繰り返します。
バスケットボールやバレーボールでは、ジャンプと着地を何度も行います。
ランニングでは、同じような着地動作を長時間繰り返します。
このような動作では、歩行よりも大きな力が足にかかる場面があります。
そのため、「普段は痛くないけれど、スポーツをすると痛い」というケースでは、日常生活だけでなく競技中の動作を確認することが大切です。
「親指だけ」を見てもわからないことがあります
外反母趾の痛みがあると、どうしても親指ばかり気になってしまいます。
しかし、歩く・走る・ジャンプするといった動作では、足だけでなく下半身全体が動いています。
例えば、
-
足首が硬くなっている
-
膝が内側へ入りやすい
-
股関節がうまく動かない
-
片足で立ったときに身体が大きく傾く
-
着地するときに足が安定しない
などがあれば、動作全体を確認する必要があります。
外反母趾と下肢の動きについては研究でも関連が検討されていますが、歩き方の変化が外反母趾の原因なのか、外反母趾によって歩き方が変化したのかについては、単純に決められない部分もあります。
だからこそ、「歩き方が悪いから外反母趾になった」と決めつけるのではなく、現在の身体の状態を確認することが重要です。
当院では歩き方や身体の使い方まで確認します
当院では、外反母趾の痛みがある方に対して、親指の状態だけを確認して終わることはありません。
立った状態や歩行、片足立ちなどを確認しながら、
「どこに体重がかかっているのか」
「足の指をどのように使っているのか」
「足首や膝、股関節はスムーズに動いているか」
などを確認します。
スポーツをしている方の場合には、実際の競技動作でどのように足を使っているのかも重要です。
その状態に合わせて、足部だけでなく必要な部位へ施術を行い、身体の使い方やセルフケアについてもお伝えします。
外反母趾の形だけを見て「これが原因」と決めつけるのではなく、今の痛みがどのような動作で起きているのかを確認することを大切にしています。
痛みがあるからといって、すぐに運動を全部やめる必要はありません
スポーツをしている方からは、
「外反母趾があるなら運動をやめた方がいいですか?」
と相談されることがあります。
しかし、痛みの程度や原因によって対応は変わります。
痛みを我慢して同じ練習を続けるのもよくありませんが、必要以上にすべての運動を禁止する必要があるとも限りません。
まずは、どの動作で痛むのかを確認し、負担が強い動作や練習量を調整しながら、できることを残していくことが大切です。
外反母趾の痛みを「足の形だけ」の問題にしないために
外反母趾は、見た目の変化がわかりやすい症状です。
そのため、「骨が曲がっているから痛い」と考えてしまいがちです。
もちろん変形そのものは重要ですが、実際に痛みが出る場面を考えると、靴、歩行、足の使い方、スポーツ動作など、さまざまな要素を確認する必要があります。
当院では、外反母趾の痛みでお困りの方に対して、足の状態と身体全体の動きを確認しながら対応しています。
「歩くと親指の付け根が痛い」
「スポーツの後だけ痛む」
「外反母趾があるけれど、運動を続けたい」
このようなお悩みがある方は、一度ご相談ください。
痛みを我慢して動き続けるのではなく、今の身体の状態に合わせて、できるだけ無理なく日常生活やスポーツを続けられる方法を一緒に考えていきましょう。
参考文献
-
日本整形外科学会「外反母趾」
-
Rosemberg DL, et al. Biokinetic Evaluation of Hallux Valgus during Gait: A Systematic Review. Foot & Ankle International. 2023.
-
Xiang L, et al. Gait biomechanics evaluation of the treatment effects for hallux valgus patients: A systematic review and meta-analysis. Gait & Posture. 2022.
-
Zhu Z, et al. Effects of exercise combined with external support on hallux valgus angle and pain: A systematic review and network meta-analysis. Foot and Ankle Surgery. 2026.







