「首が痛くなるたびにマッサージを受けています」
「そのときは楽になるのですが、数日するとまた痛くなります」
「首や肩をほぐしているのに、なぜ繰り返すのでしょうか?」
当院でも、このようなお悩みを聞くことがあります。
首を揉んだり、温めたりすることで一時的に楽になることはあります。
実際、首の痛みへの対処では、痛みを和らげながら身体を動かしていくことが大切です。運動療法についても、慢性的な首の痛みに対して有効性が報告されています。
それでも何度も痛みを繰り返すのであれば、
「首が硬いから痛い」だけでは説明できない部分
があるのかもしれません。
首を揉んで楽になるのに、なぜまた痛くなる?
首の筋肉が緊張している場合、そこをほぐすことで一時的に動きやすくなったり、痛みが軽くなったりすることがあります。
ただし、それによって、
「なぜ首に負担がかかっていたのか」
まで変わったとは限りません。
たとえば、デスクワークをしているときに、背中や肩がほとんど動かず、首だけで前を見る姿勢になっていたとします。
その状態で首だけを何度もほぐしても、仕事に戻れば同じ身体の使い方をすることになります。
すると、また首に負担がかかります。
これは、
「首を揉むことが悪い」のではなく、「首を揉むだけで終わってしまうこと」が問題になる場合がある
ということです。
首の痛みで、当院が見る「首以外」の場所
当院では、首の痛みがある方に対して、首の動きだけを確認するわけではありません。
たとえば、
① 胸や背中が動いているか
パソコンやスマートフォンを長時間使っていると、前かがみの姿勢が続きやすくなります。
その結果、背中を伸ばしたり、身体をひねったりする動きが少なくなることがあります。
背中が十分に動かなければ、振り向くときなどに首が余計に動かなければならなくなることがあります。
② 肩甲骨が動いているか
腕を動かすときには、肩だけでなく肩甲骨も一緒に動きます。
肩甲骨周辺の動きが悪くなっていると、首や肩まわりに負担が集中していないかを確認する必要があります。
③ 骨盤や下半身の動きに偏りがないか
「首が痛いのに、なぜ脚を見るの?」
と思われるかもしれません。
しかし、立っているときや歩いているとき、身体は首だけでバランスを取っているわけではありません。
足元から骨盤、背中、肩、首まで、それぞれが動きながら身体のバランスを保っています。
そのため当院では、首の痛みがある場合でも、必要に応じて身体全体の動きを確認します。
「姿勢が悪いから首が痛い」と決めつけない
ここで注意したいのが、
「猫背だから首が痛い」
「スマホを使うから首が痛い」
と単純に決めつけないことです。
実際には、首の痛みを抱えている方の身体の状態や生活環境は一人ひとり違います。
また、慢性的な首の痛みに対しては、運動や身体を動かすことが有効な選択肢の一つですが、「この運動だけをすれば全員に同じ効果が出る」というものでもありません。研究でも、特定の運動だけが一般的な運動より常に優れているとは言い切れない結果が出ています。
だからこそ、
「首が痛いから首を伸ばす」
「猫背だから姿勢を良くする」
だけで終わらせず、その人の身体の動きに合わせて考えることが大切です。
当院では「痛みがある場所」と「負担がかかる場所」を分けて考えます
首が痛いと、どうしても痛い場所に目が向きます。
しかし、
痛みが出ている場所=負担の原因になっている場所
とは限りません。
当院では、首の動きだけでなく、肩・背中・骨盤・下半身などを含めて身体の動きを確認します。
そして、
「どこが動きにくいのか」
「どこに負担が集中しているのか」
「普段どのような身体の使い方をしているのか」
を確認したうえで、必要な部分に施術を行います。
慢性的な首の痛みでは、運動療法や身体を動かすことも重要な選択肢とされています。
そのため、施術を受けて楽になったら終わりではなく、普段の身体の使い方まで見直していくことが、再び首に負担をかけないためには重要です。
こんな方は、一度身体全体を確認してみてください
-
首を揉んでもすぐに戻ってしまう
-
首や肩のマッサージを繰り返している
-
デスクワークをすると必ず首が痛くなる
-
スマートフォンを使ったあとに首がつらい
-
首を左右に向くと動きに差がある
-
首の痛みを何度も繰り返している
-
スポーツをすると首や肩が張りやすい
このような場合は、首だけの問題として考えるのではなく、一度身体全体の動きを確認してみることをおすすめします。
「首が硬いから仕方ない」と諦める必要はありません。
当院では、痛みのある首だけを見るのではなく、身体全体の動きやバランスを確認しながら、首に負担が集中している理由を探していきます。
首の痛みを繰り返している方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
-
El-Allawy A, et al. Clinical Practice Guideline: Nonspecific Neck Pain. Dtsch Arztebl Int. 2025.
-
Mueller J, et al. Resistance, Motor Control, and Mindfulness-Based Exercises Are Effective for Treating Chronic Nonspecific Neck Pain. J Orthop Sports Phys Ther. 2023.
-
Rosa MAMBV, et al. General exercises are not superior to specific exercises for pain and functional disability in individuals with chronic nonspecific neck pain. J Bodyw Mov Ther. 2024.







