「腰が痛いときは、運動しないほうがいいですよね?」
腰痛で来院される方から、よく聞かれる質問です。
特にスポーツをしている方の場合、
「練習を休んだほうがいいのか」
「動いたほうが早く良くなるのか」
判断に迷ってしまうと思います。
結論から言うと、腰痛だからといって、すべての運動を一律に禁止する必要があるわけではありません。
ただし、痛みがある状態で無理にいつも通りの運動を続けることもおすすめできません。
大切なのは、「完全に動かない」か「いつも通り動く」かの二択ではないということです。
腰痛=安静、ではない
以前は、腰痛になると「できるだけ安静にしておきましょう」と言われることも多くありました。
しかし現在では、腰痛の状態を見ながら、できる範囲で普段の活動を続けることが重要だとされています。
NICE(英国国立医療技術評価機構)のガイドラインでも、腰痛に対して通常の活動を続けるよう助言し、状態や能力に合わせた運動を取り入れることが推奨されています。
WHOも慢性腰痛に対して、教育や運動などを組み合わせた包括的な対応を推奨しています。
つまり、
「腰が痛いから何もしない」
という考え方が、すべての腰痛に当てはまるわけではありません。
では、痛くても運動すればいいの?
ここは注意が必要です。
「運動したほうがいい」と聞いて、痛みを我慢してランニングや筋トレを続けるのは違います。
例えば、
・運動すると痛みが強くなる
・運動後から長時間痛みが残る
・足のしびれが強くなる
・力が入りにくくなる
・今までできていた動作ができなくなる
このような場合は、運動量や内容を見直す必要があります。
特にスポーツをしている学生やアスリートの場合、「休む=競技から離れる」と考えてしまいがちです。
しかし、腰の状態によっては、競技そのものを完全にやめるのではなく、痛みを悪化させる動作や練習量を一時的に調整するという考え方もあります。
腰痛のときに大切なのは「何をすると痛いか」
腰痛を改善するために筋トレを始める方もいます。
もちろん、運動は腰痛への大切なアプローチの一つです。
ただし、「腰痛なら腹筋」「腰痛ならお尻を鍛える」というように、全員に同じ運動をすればいいわけではありません。
腰を前に曲げると痛い人と、後ろに反ると痛い人では、体の使い方が違う可能性があります。
さらに、腰を動かしたときだけ痛いのか、歩くと痛いのか、座っていると痛いのかによっても考えることは変わってきます。
そのため私は、腰痛の方に運動を勧めるときには、
「どの運動をするか」よりも「今の体で何ができるのか」
を先に確認することが大切だと考えています。
当院が考える「腰痛と運動」の関係
腰痛の方ほど「腰だけで動こうとしている」ことがあります。
本来、歩く、走る、しゃがむ、立ち上がるといった動作では、足、股関節、骨盤、背中などが連動しています。
ところが、どこかの動きが悪くなっていると、その分を腰が頑張ってしまうことがあります。
そこで当院では、痛みのある腰だけを確認するのではなく、
「どこが動いて、どこが動いていないのか」
「どの動作で腰に負担が集中するのか」
「スポーツや仕事で、どのような使い方をしているのか」
というところまで確認します。
腰痛を「腰が弱いから」と考えるのではなく、体全体の動きの中で腰に負担が集中していないかを考え施術します。
腰痛でも動いていい。ただし「無理をしない」が大前提
腰痛になったときに大切なのは、
「安静にするか、運動するか」ではなく、「今の状態に合わせて活動量を調整する」ことです。
軽い動きで楽になる人もいれば、特定の動作を控えたほうがいい人もいます。
また、急激な強い腰痛、転倒などの外傷、足の力が入らない、しびれが強くなる、排尿・排便の異常などがある場合には、自己判断で運動を続けず、早めに医療機関へ相談してください。
腰痛は一人ひとり状態が違います。
だからこそ、
「腰痛だから運動禁止」
「腰痛には筋トレ」
と決めつけるのではなく、今の自分の体に合った動き方を見つけることが大切なのです。
スポーツを続けたい方も、日常生活を楽にしたい方も、「痛みがあるから全部休む」のではなく、「何ならできるのか」を一緒に探していくことが、腰痛と上手につき合う第一歩になります。







