シーバー病とは
シーバー病は10歳前後のスポーツをしている活発なお子さんに見られる踵の痛みです。サッカー、野球、バスケットボール、空手、ダンスなど、走る動作やジャンプ動作が多いスポーツに従事するお子さんに頻発します。
発育期の子供の踵には骨端線があり弱いため、運動時などの繰り返しの負荷が持続的に加わることで、踵骨に血流障害が起こり痛みが発生するのです。
主な症状
- 運動中や運動後の踵の痛み
- 歩行時の痛み(重症化すると歩くのも辛くなる)
- 朝起きた時の踵の痛み
- 踵を押すと痛みがある
- 踵に腫れが見られることもある
- つま先歩きをするようになる
整形外科では「安静にしてください」「成長痛なので付き合っていくしかない」と言われることが多いですが、当院では違ったアプローチで改善を目指します。
シーバー病と血液循環の深い関係
シーバー病の大きな原因の一つが「血流障害」です。踵の痛みは単に踵だけの問題ではなく、全身の血液循環が深く関わっています。
なぜ血流が悪くなるのか
1. 足首の硬さの問題
サッカーや野球などで足首を固定されやすいシューズやスパイクを履いていると、本来動きのある足首の関節が動かなくなります。これにより下腿三頭筋やアキレス腱にストレスが加わり、結果的に踵に負担がかかるのです。
さらに重要なのは、足首の関節が動かないことによって下腿三頭筋の働きが少なくなることです。下腿三頭筋は「第二の心臓」とも呼ばれ、足の血流を心臓に戻す役割をしています。この働きが弱まると、血流が悪くなり老廃物が足に溜まりやすくなるため、痛みが出やすい状態となります。
2. 骨盤の動きが悪い
踵の血流が悪くなる要因として、骨盤の動きの悪さも関係します。骨盤の動きが悪くなることにより、骨盤周囲の血管が詰まってしまい血流障害を起こすのです。
骨盤周囲の血管は太いため、太い血管が詰まってしまうと踵までしっかり血液が流れなくなり虚血状態になります。踵は常に酸素不足になってしまうので痛みが出てしまうのです。
3. 重心バランスの崩れ
踵に痛みがあるお子さんのほとんどは、踵重心になっています。踵重心のままスポーツをしていれば、負担が加わり続けるのは当然ですよね。
重心バランスの崩れは体全体の問題です。上半身と下半身がしっかり連動して動いていなければ、バランスが悪い状態で運動していることになり、特定の部位に負担が集中してしまいます。
血液循環が担う重要な役割
血液循環が正常に機能すると、以下のような効果が得られます:
- 栄養素と酸素の供給:損傷した組織の修復に必要な栄養素や酸素を運搬します
- 老廃物の除去:炎症部位で産生された老廃物や炎症物質を除去し、痛みや腫れを軽減します
- 免疫機能のサポート:白血球などの免疫細胞を患部に運び、組織修復を促進します
- 体温調節:適切な血流により患部の温度を保ち、治癒を促進します
逆に血液循環が悪化すると、これらの機能が低下し、シーバー病の症状が長引いたり悪化したりする可能性があります。
水分補給が血液循環を左右する
ここで重要になるのが「水分補給」です。適切な水分補給は、シーバー病の予防と改善において欠かせない要素となります。
水分補給が血液循環に与える影響
1. 血液の粘度を適正に保つ
十分な水分摂取により血液の粘度が適正に保たれ、血液循環が改善されます。脱水状態では血液がドロドロになり、栄養素や酸素の運搬効率が著しく低下します。特に成長期のお子さんは体重に対する水分必要量が大人より多く、こまめな水分補給が必要です。
2. 関節潤滑液の維持
水分は関節液の主要成分です。適切な水分補給により関節の滑らかな動きが保たれ、踵への負担が軽減されます。関節液が不足すると、関節の動きが悪くなり、余計な負担が踵にかかってしまいます。
3. 体温調節機能の維持
スポーツ中は体温が上昇しますが、汗をかくことで体温を調節します。この汗をかくためには十分な水分が必要です。体温調節が適切に行われることで、筋肉や関節への負担が軽減され、パフォーマンスも向上します。
4. 代謝機能の維持
水分は細胞内での代謝反応に不可欠です。組織修復プロセスを効率的に進めるためにも、十分な水分が必要となります。
実践的な水分補給のポイント
日常的な水分摂取
成長期のお子さん:体重1kgあたり35-40ml/日が目安となります。尿の色が薄い黄色になることを一つの目安にしましょう。
- 起床時:睡眠中に失われた水分を補給するため、常温の水をコップ1杯(200ml程度)飲みましょう。起床時に常温の水を飲むことで、自律神経が整いやすくなり、1日の体調を良好に保つ効果も期待できます。冷たい水は胃腸に負担をかけるため、常温がおすすめです。
- 日中の生活:1時間に1回、コップ1杯程度の水を飲む習慣をつけましょう。喉が渇いたと感じる前に、定期的に水分補給することが重要です。デスクワークの方は、特に水分摂取を忘れがちなので、タイマーなどを利用して定期的に飲む習慣をつけることをお勧めします。
- 就寝前:就寝中の脱水を防ぐため、コップ半分程度の水分補給が効果的です。
- その他:食事の時、入浴前後にも意識的に水分を摂取しましょう
当院における総合的なアプローチ
当院では、シーバー病に対して以下のような総合的なアプローチを行っています。
足首の硬さの調整
足首の関節可動域を改善し、下腿三頭筋の働きを正常化させることで、血液循環を促進します。足首が適切に動くようになることで、「第二の心臓」としての機能が回復し、踵への血流が改善されます。
骨盤の動きの調整
骨盤周囲の筋肉や関節にアプローチし、骨盤の動きを改善します。これにより骨盤周囲の太い血管の流れがスムーズになり、下肢全体への血流が改善されます。
重心バランスの調整
全身を調整し重心バランスを整えることで、踵への過度な負担を軽減します。上半身と下半身がしっかり連動して動くようになることで、自然と踵への負担が分散されます。
生活指導とセルフケア
当院では施術だけでなく、自宅で簡単に出来るセルフケアや栄養指導、そして水分補給の具体的な方法などもお伝えしています。施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体を取り戻すための包括的なサポートを提供します。
まとめ
シーバー病は「成長痛だから仕方ない」と諦める必要はありません。血液循環の改善と適切な水分補給、そして根本原因へのアプローチにより改善が可能です。
当院では、踵だけでなく足首、骨盤、全身のバランスを整えることで症状の根本改善を目指します。「大会に間に合わせたい」「痛みなく全力でスポーツを楽しみたい」そんな想いを持つお子さんとご家族を、当院は全力でサポートいたします。







