はじめに
有痛性外脛骨は、足の内側のポコっと出っ張った骨(外脛骨)が痛む疾患で、特に成長期のスポーツ選手に多く見られます。整形外科で「成長痛なので時を待つしかない」と言われたり、痛み止めやインソールを試してもなかなか改善されなかったりすることも少なくありません。
一度症状が改善されても、適切な予防策を講じなければ再発するリスクが高い疾患でもあります。今回は、当院での治療経験をもとに、有痛性外脛骨の再発予防について詳しく解説します。
有痛性外脛骨とは
外脛骨は、足の舟状骨という骨の内側に存在する過剰骨(普通存在しない余分な骨)で、約2割程度の人に見られます。この外脛骨に痛みが生じるのが有痛性外脛骨です。
痛みが生じる原因は大まかに以下の3つに分類されます:
- 外脛骨部に直接何かがぶつかったりする直達外力により発生する
- 捻挫などの捻れによる介達外力により発生する
- 運動等の負荷により発生する(明らかな原因がない)
特に、剣道やサッカー、野球などのスポーツを行っている10〜15歳の成長期に多く発症します。
なぜ再発してしまうのか?
有痛性外脛骨が再発する最大の理由は、痛みのある部位だけを治療していて、本当の原因にアプローチできていないからです。
治療法は、痛み止めや湿布、痛む場所に電気治療や超音波治療、インソールを処方されることが一般的となっています。しかし、当院で改善された方は、上記に記載した方法では改善されることなく過ごしていました。
治療は痛みの患部に限定されて行われていることが多いですが、ほとんどは患部に原因がないので改善されることは稀です。痛みが一時的に軽減されたとしても、根本的な原因が解決されていなければ、同じ負荷が加わることで再び痛みが出てしまうのです。
有痛性外脛骨の痛みを長引かせる3つの原因
当院では、有痛性外脛骨の本当の原因を以下の3つと考えています。
距骨(きょこつ)の位置が悪い
足首には7つの足根骨という骨があり、そのうちの一つが距骨という骨です。この距骨という骨は、脛の骨(脛骨)と繋がりがあり、足の軸となっている骨です。
捻挫や足首に過剰な負荷が加わることにより距骨にねじれが生まれます。すると他の足根骨とのバランスが崩れ、結果として舟状骨粗面に痛みが出てしまうのです。
ねじれてしまった距骨の位置を正常にすることがとても大切になります。「足首の捻挫後からずっと痛い」という方が多いのは、この距骨のねじれが原因となっているケースが非常に多いのです。
関節と筋肉の連動性が取れていない
舟状骨粗面には、後脛骨筋腱が付着します。後脛骨筋腱に過剰な負荷が加わるということは、その他の筋肉が上手く使えていないことが考えられます。
また、筋肉は関節を動かす動的な役割を担っています。筋肉を上手く使うことができなければ、関節の動きも悪くなってしまいます。
筋肉と関節の連動性が取れなくなり、結果として後脛骨筋腱に負荷が加わり痛みを誘発してしまうのです。痛みのある部位にだけアプローチしていても改善されないのは、上手く使えていない筋肉や関節にアプローチをしていないからなのです。
重心バランスが安定していない
舟状骨粗面は体のどこに位置しているでしょうか?足首の内側にあるのがわかると思います。
足首の内側、体の内側に痛みがあるということは、そこに過剰に負荷が加わっているということになります。これは、重心バランスが内側に偏っているということを意味しています。
人間は、座っている時も立っている時も体が傾かないように無意識にバランスを保っています。さまざまなストレスや運動の負荷により重心が安定しなくなると、ある一定の方向にバランスが傾きます。
この傾きのまま運動や生活を続けることにより、同じ箇所に負荷が加わり続け痛みを出してしまうのです。そして症状が改善された後も、この重心バランスの問題が解決されていなければ、再び同じ場所に負担がかかり再発してしまうのです。
再発を防ぐための5つのポイント
1. 距骨の位置を正常に保つ
足首の捻挫を予防し、距骨の位置を正常に保つことが重要です。特に、過去に捻挫の経験がある方は、足首の可動域を確認し、必要に応じて距骨の調整を行うことをおすすめします。
2. 筋肉と関節の連動性を高める
後脛骨筋だけでなく、下肢全体の筋肉バランスを整えることが重要です。特に以下の点を意識しましょう
ストレッチとトレーニング
- ふくらはぎ全体のストレッチ
- 足部内在筋のトレーニング
- バランスを取りながらの片足立ち練習
- タオルギャザー運動による足部筋力強化
これらを通じて、筋肉と関節が連動して動ける体づくりを目指します。
3. 重心バランスを整える
バランスが大切ということはみなさん十分ご存知かと思いますが、どのように バランスを崩していて、どのように改善していけばいいのかを的確に知ることが大切なのです。
当院の重心バランス整体では、体全体のバランスを評価し、どこに偏りがあるのかを明らかにします。そして、その偏りを整えることで、足の内側に過剰な負荷がかからない体づくりを行います。
日常生活での意識
- 立っている時の重心位置の確認
- 座っている時の姿勢の見直し
- 歩行時の体重移動の改善
4. 段階的な運動復帰を心がける
痛みが軽減されたからといって、急激に運動量を元に戻すことは再発のリスクを高めます。以下のような段階的なアプローチが重要です。
運動復帰のステップ
- 痛みのない範囲での軽い動き
- 徐々に負荷を上げていく
- ジャンプや着地の練習を慎重に行う
- ボールを蹴る動作は最終段階で
焦らず計画的に進めることで、試合にも出場できるようになった患者様が多数いらっしゃいます。
5. 定期的な身体のメンテナンス
症状が改善された後も、定期的に身体全体のバランスをチェックすることが再発予防には欠かせません。
当院では、施術後のサポートも充実しており、自宅で簡単に出来るセルフケアや栄養指導などにも力をいれております。施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体を取り戻しましょう。
少しでも違和感を感じたら、早めに対処することで重症化を防ぐことができます。
まとめ
有痛性外脛骨の再発予防は、痛みのある局所的な治療だけでなく、距骨の位置、筋肉と関節の連動性、重心バランスという3つの根本的な原因に対するアプローチが不可欠です。
「安静しかない」「固定して様子を見るしかない」と言われて悩んでいる方、インソールを使用しても変化がない方、どこに行ってもなかなか改善されず本当にいい整骨院を探している方は、ぜひ当院にお越しください。
痛みなく体を動かすことができる喜び、そしてあなたが今後目標にしていきたいことに対して当院が全力でサポートさせていただきます。再発予防は一朝一夕にできるものではありませんが、正しい知識と継続的な取り組みにより、必ず健康で活動的な生活を取り戻すことができます。
症状が改善された後も、定期的な身体メンテナンス、適切なセルフケア、専門家による継続的な評価を通じて、スポーツや日常生活を安心して楽しめる身体を維持していきましょう。







