「オスグッドと診断されたけど、部活は休んだほうがいい?」
「大会が近いから、できれば練習を続けたい」
「痛みを我慢して練習しても大丈夫?」
成長期にスポーツをしているお子さんがオスグッドになると、本人だけでなく、保護者の方もこのような悩みを抱えることがあります。
特に、レギュラー争いや大会、試合などが控えていると、「休ませることで体力が落ちてしまうのではないか」と心配になるのも無理はありません。
では、オスグッドになったら、必ず部活を休まなければいけないのでしょうか?
オスグッドだから「完全に休む」とは限りません
オスグッド・シュラッター病は、成長期の子どもに起こりやすい膝の障害です。
太ももの前にある大腿四頭筋が膝のお皿を介して、すねの骨にある「脛骨粗面」という部分を繰り返し引っ張ることで、その部分に負担がかかり、痛みや腫れなどが起こります。
特に、走る・ジャンプする・蹴る・方向転換するといった動作が多いスポーツでは、膝に繰り返し負担がかかります。
そのため、痛みが出ている状態で、これまでと同じ練習量・同じ強度の運動を続けることはおすすめできません。
一方で、「オスグッド=すべての運動を禁止」という考え方も適切ではありません。
大切なのは、痛みの状態に合わせて運動量や内容を調整することです。
「痛いけど練習できる」はどう考える?
オスグッドでは、
「練習中は少し痛いけど、終われば大丈夫」
というケースがあります。
この場合も、「練習できるから問題ない」とは限りません。
例えば、
・走ると痛い
・ジャンプすると痛い
・ボールを蹴ると痛い
・階段の上り下りで痛い
・しゃがむと痛い
・練習後に膝が強く痛む
・翌日まで痛みが残る
このような状態なら、膝にかかっている負担が現在の体の許容量を超えている可能性があります。
オスグッドの治療についてまとめた研究でも、治療の中心として「活動量の調整」が繰り返し推奨されています。
では、どこまでなら運動していいの?
ここが一番難しいところです。
オスグッドだからといって、全員に同じ「○日間休む」という基準があるわけではありません。
痛みの程度や、どの動作で痛むのか、練習後に症状がどう変化するのかなどによって、必要な対応は変わります。
例えば、走る・ジャンプする動作で痛みが強くなるのであれば、それらを一時的に減らす。
一方で、痛みを悪化させない範囲でできる運動を取り入れるという考え方もあります。
つまり、
「全部休む」か「今まで通り練習する」かの二択ではありません。
その間にある「今の状態でできること」を探すことが大切です。
「痛みを我慢して続ける」はおすすめできません
スポーツをしている子どもにとって、練習を休むことは簡単なことではありません。
「少しくらい痛くても練習しないと」
「みんなが練習しているから、自分だけ休めない」
と考えてしまうこともあります。
しかし、痛みを我慢して同じ負荷を繰り返せば、症状が長引く可能性があります。
オスグッドは成長が落ち着くまで症状が続くこともあり、長期化するとスポーツや日常生活に影響する場合があります。
だからこそ、痛みを「我慢できるかどうか」だけで判断するのではなく、膝にかかる負担を調整することが重要です。
当院では「膝だけ」を見るのではなく、動き全体を確認します
オスグッドになると、「太ももの前が硬いから」「成長期だから」と考え、膝周辺だけをケアすることがあります。
もちろん、太ももの筋肉など膝周辺の状態を確認することは大切です。
しかし、スポーツでは膝だけを動かしているわけではありません。
走るときには、足・膝・股関節・骨盤・体幹が連動します。
ジャンプや着地、切り返しでも同じです。
そのため当院では、痛みのある膝だけでなく、
・股関節の動き
・足首の動き
・左右の動きの違い
・しゃがむ、走る、ジャンプする動作
・スポーツ中の体の使い方
なども確認します。
「なぜ膝の同じ場所に負担が集中しているのか」を考えることが大切だからです。
ただし、オスグッドのすべてが体のバランスだけで説明できるわけではありません。
強い痛みや腫れがある場合、歩くことが難しい場合、症状が長く続く場合などは、整形外科などの医療機関で状態を確認することも大切です。
大切なのは「休むこと」ではなく「適切に負荷を調整すること」
オスグッドになったとき、
「部活を休むべき?」
という質問に対して、全員に同じ答えを出すことはできません。
痛みが強い時期には負荷を減らす必要があります。
その一方で、症状に合わせてできる運動を取り入れながら、少しずつ競技へ戻していくことも大切です。
「痛くないから急に元通り」
ではなく、
痛みの状態を確認しながら、練習量や動作を段階的に戻していく。
これが、スポーツを続けたい成長期の選手にとって重要な考え方です。
お子さんが「膝が痛い」と言ったときには、
「部活を休むか、続けるか」
だけで考えるのではなく、
「今の膝に、どのくらいの負荷なら大丈夫なのか?」
を考えてみてください。
それが、スポーツを長く続けるための第一歩になります。
参考文献
・日本整形外科学会「オスグッド・シュラッター病」
・Circi E, et al. Treatment of Osgood-Schlatter disease: review of the literature.
・Cairns G, et al. Therapeutic interventions in children and adolescents with patellar tendon related pain: a systematic review. BMJ Open Sport & Exercise Medicine.
・Eberhardt O, et al. A systematic review on conservative treatment options for Osgood-Schlatter disease. Physical Therapy in Sport.







