「腰椎分離症かもしれないと言われたけれど、レントゲンでは何も分からなかった」
「腰が痛いのに、画像では異常なしと言われた」
「MRIやCTまで撮る必要があるの?」
成長期にスポーツをしているお子さんが腰痛を訴えたとき、このような疑問を持つ保護者の方は少なくありません。
腰椎分離症は、腰の骨に繰り返し負担がかかることで起こる疲労骨折です。
そして、この腰椎分離症を考えるうえで非常に重要なのが、「どの段階で見つかったのか」ということです。
腰椎分離症は「骨が折れている状態」です
腰椎分離症という名前から、「背骨がずれている病気」と思われる方もいます。
実際には、腰椎の後方にある部分に疲労骨折が起こった状態です。
特に成長期では、まだ骨が発達途中であることに加え、スポーツで腰を反ったり、ひねったりする動作を繰り返すことで、同じ部分に負担が蓄積することがあります。
そのため、
「腰が痛いけれど、レントゲンでは異常がない」
というケースでも、腰椎分離症を完全に否定できるとは限りません。
レントゲンで分からないことがあるのはなぜ?
レントゲンは、骨の状態を確認するために非常に役立つ検査です。
日本整形外科学会でも腰椎分離症の診断にX線検査が用いられるとしています。
一方で、初期の疲労骨折などでは、まだ骨の変化がはっきりしていないため、レントゲンだけでは分かりにくい場合があります。
そこで、症状や診察の結果から腰椎分離症が疑われる場合には、MRIやCTなどの検査が検討されることがあります。
MRIとCTでは見ているものが違う
簡単に説明すると、
MRIは「骨に疲労が起きている早い段階」を確認するのに役立つ検査。
CTは「骨にどのような亀裂があるのか、骨折部分がどの程度進んでいるのか」を詳しく確認するのに役立つ検査。
という違いがあります。
近年のスポーツ医学では、MRIで腰椎の疲労骨折を示す変化を確認し、そのうえでCTによって骨折部分の状態を確認するという考え方が広く用いられています。
もちろん、すべての腰痛にMRIやCTが必要という意味ではありません。
症状や診察所見、年齢、スポーツ歴などを考えたうえで、医師が必要性を判断します。
「痛みがなくなった=骨が治った」ではないことも
腰椎分離症で注意したいのが、
「痛みがなくなったから、もう治った」
と自己判断してしまうことです。
痛みが落ち着いていても、骨折部分が完全に癒合しているとは限りません。
スポーツ医学の現場では、症状だけでなく画像検査も使いながら、骨の状態や病期を確認していくことがあります。特に成長期の腰椎分離症では、早期に見つけて適切な治療につなげることが重要です。
「痛くないから全力で部活に戻ろう」
ではなく、
「今、腰の骨はどのような状態なのか?」
を確認することが大切なのです。
当院では画像だけで判断しません
腰椎分離症と診断された場合、もちろん画像検査によって骨の状態を確認することは重要です。
同じ診断名でも「腰に負担をかけている体の使い方」は人によって違うということです。
例えば、
・股関節が十分に動いているか
・骨盤をうまく使えているか
・背中が硬くなっていないか
・走る、跳ぶ、投げるときに腰だけで動いていないか
・左右で体の使い方に違いがないか
こうした部分を確認することも、スポーツへの復帰を考えるうえでは大切だと考えています。
腰椎分離症そのものを画像だけで判断するのではなく、「なぜその腰に繰り返し負担がかかったのか」という視点も持つことが必要です。
腰痛が続く成長期の選手は早めの相談を
特に、
「部活をすると腰が痛い」
「腰を反ると痛い」
「何週間も腰痛が続いている」
「休むと楽になるけれど、練習するとまた痛い」
という状態なら、単なる筋肉痛だと思って放置しないことをおすすめします。
腰椎分離症は、早期に発見できれば骨癒合を目指せるケースがあります。一方、進行度によって治療方針や骨癒合の可能性は変わります。
だからこそ、
「レントゲンで異常がなかったから大丈夫」
と自己判断するのではなく、症状が続く場合には整形外科などの医療機関で相談してみてください。
そのうえで、必要な検査を受け、現在の腰の状態を把握する。
そこから、スポーツへの復帰や体の使い方を考えていくことが、成長期の選手にとって大切なのです。
参考文献
・日本整形外科学会「腰椎分離症・分離すべり症」
・日本臨床スポーツ医学会誌「腰椎疲労骨折の診断と治療方針」
・千葉メディカルセンター スポーツ医学センター「腰の障害」
・臨床雑誌整形外科「信号変化を伴う腰椎分離症例には常に腰痛があるのか」







