はじめに
外反母趾でお悩みの方は非常に多いのではないでしょうか。親指の痛みは単なる足の変形が原因だと思われがちですが、実は足首や股関節との深い関係があることをご存知でしょうか。
近年の生活様式やオシャレ履の影響で外反母趾になりやすい傾向にあるのが現状です。ほとんどは女性が来院されることが多いですが、サッカー等のスパイク競技をされている男性も痛みで困って来院されます。
当院では、痛みが出る母趾の外側には痛みの原因がないという考えのもと、外反母趾を全身のバランスの問題として捉え、根本改善を目指しています。
外反母趾と股関節の関係性
股関節の歪みが引き起こす下肢全体の連鎖反応
股関節は体の中心部に位置する大きな関節であり、立位や歩行において非常に重要な役割を担っています。この股関節に問題が生じると、その影響は下方へと連鎖的に伝わっていきます。
股関節の位置異常や可動域制限があると、膝関節の位置も変化します。膝が内側に入ったり外側に開いたりすることで、その下にある足首関節にも影響が及びます。足首の位置が変わると、足部のアーチ構造が崩れ、最終的に母趾への過度な負担となって現れるのです。
骨盤の歪みと太ももから母趾への影響
骨盤が歪むと太ももの大きな筋肉が引っ張られます。大きな筋肉が引っ張られることによりふくらはぎの筋肉にも影響が出てきます。
ふくらはぎの筋肉の深層部には母趾を動かす筋肉がついていますので、太ももの筋肉が引っ張られ、その負担がふくらはぎの筋肉にまで及び、母趾を動かす筋肉も引っ張ってしまうのです。
このように、股関節や骨盤の問題は、筋肉の連鎖を通じて母趾にまで影響を及ぼします。
股関節からの神経の影響
腰椎の歪みがあると腰椎から出る神経に問題が起きてきます。腰椎からは腰神経叢(ようしんけいそう)と呼ばれている神経の束があり、その束から分枝した神経が足まで分布しています。
腰椎の歪みがあると、腰神経叢から分枝した神経に上手く信号が伝わらなくなるので、足の筋肉が使えなくなってしまうのです。足の筋肉が使えなくなって、体を支えることができなくなると土台となっている足関節や母趾の関節に負担がかかってしまいます。
外反母趾と足首の関係性
足首から母趾へのストレス伝達
足関節は立位や歩行時に体重を支える重要な役割を担っています。この足関節に問題があると、足部全体でバランスを取ろうとする代償動作が生じます。
特に、足首の安定性が低下すると、足部の内側アーチが低下し(扁平足の状態)、母趾の付け根に過度な体重がかかるようになります。この状態が長期間続くことで、母趾の関節に変形が生じ、外反母趾へと進行していくのです。
足首の可動域制限と母趾への負担
足首の可動域が制限されると、歩行時の蹴り出しがうまくできなくなります。その結果、足指での蹴り出しに頼るようになり、特に母趾への負担が増大します。
本来は足首を使って滑らかに歩行すべきところを、足首が硬くなることで母趾に過度な負荷がかかり続け、これが長期間続くことで外反母趾の変形が進行してしまいます。
外反母趾の本当の原因
当院で外反母趾を改善された方は、原因を伝えられて驚いていました。痛む母趾の内側に原因がないとなると一体どこに原因があるのでしょうか?
1. 骨盤と背骨(腰椎)の歪み
先ほど説明したように、骨盤の歪みは太ももの筋肉を引っ張り、その影響がふくらはぎを経て母趾を動かす筋肉にまで及びます。
また、腰椎の歪みによる神経伝達の問題により、足の筋肉が適切に働かなくなり、足関節や母趾の関節に過度な負担がかかってしまうのです。
2. 血流障害
血液の流れが悪くなるとなぜ痛みが出てしまうのでしょうか?
先ほど説明した神経の影響もあるのですが、神経に栄養を送っているのは血液です。靴の圧迫や体の歪みなどで血液の通り道が狭くなると血液の流れが悪くなってしまいます。
人間の体は血液で栄養分を運んでいますから、栄養不足になった箇所は虚血状態(血液が不足する)になるので、徐々に痛みが出てしまうのです。
3. 重心バランスの崩れ
母趾は体の内側にありますよね。
骨盤や腰椎の歪みの影響を受けると、徐々に体が支えられなくなっていき、母趾で体を支え立つようになります。
立っているだけなら痛みが出るまでは悪化しないかもしれませんが、人間は歩行するので、バランスの崩れた状態で長時間歩行すれば負担は増える一方です。
片足に負担が加われば自然にもう片方の足にも負担が加わりますから、外反母趾は両側に痛みが出る方もいます。
当院での改善アプローチ
当院では、骨盤がどのように歪んでいて、どの腰椎に歪みがあるのかを検査でチェックしていきます。
あまり知られていませんが、本来の骨盤は左右非対称になっています。この左右非対称を理解していないと骨盤は調整することができません。整骨院や整体に行って骨盤の歪みを指摘されることがあると思いますが、左右非対称を理解して調整しているところはほぼないと言っていいでしょう。
初回のカウンセリング・検査に時間を掛け、丁寧にひとつひとつ検証し分析する事で、症状の原因などを特定していきます。
続いて血流を妨げている箇所を調整して、母趾まで血流がいくように調整していきます。血流を妨げている箇所は様々です。筋肉や関節を動かしながら障害が出ている箇所を断定していきます。
重心バランスは特に重要で、崩れた状態で生活していると、どんなに骨盤や背骨、血流を調整しても痛みが元に戻ってしまいます。人間の体は立位姿勢や歩行で常にストレスが加わっていますので、バランスを整えておかないといつまでたっても痛みが緩和されず、一度良くなっても再発の危険が出てしまいます。
痛みだけなら湿布やサポーターでも緩和されるかもしれませんが、1ヶ月以上痛みが続いていたり、痛みを繰り返している方は、先ほど説明した原因を取り除かなければいけません。
原因をしっかり取り除くことができれば、痛みも改善されていきます。
外反母趾と巻き爪の関係
外反母趾でお悩みの方の中には、同時に巻き爪の症状も抱えている方が少なくありません。これは偶然ではなく、両者には共通した原因があります。
外反母趾により母趾が変形すると、爪にかかる圧力のバランスが崩れ、爪が巻き込むように変形します。また、重心バランスの崩れにより母趾に過度な負担がかかり続けることで、巻き爪がさらに進行するのです。
外反母趾と巻き爪を放置すると、痛みで歩行が困難になり、歩けなくなることで運動不足になり、全身の筋力低下や体力の衰えにもつながってしまいます。
当院では、外反母趾の根本改善と併せて巻き爪矯正も行っております。骨盤や腰椎の歪みを整え、重心バランスを正しくすることで、両方の症状を根本から改善していきます。
まとめ
外反母趾は母趾だけの問題ではなく、股関節・骨盤・背骨の歪み、足首の機能不全、血流障害、重心バランスの崩れといった全身の問題が原因です。
股関節から膝、足首を経て母趾へと続く運動連鎖の中で問題が生じると、最終的に母趾への過度な負担として現れます。足首の安定性低下や可動域制限も、外反母趾を引き起こす大きな要因となります。
当院では、初回の徹底した検査で原因を特定し、骨盤の左右非対称性を理解した調整、股関節・足首の機能改善、血流改善、重心バランスの修正を行うことで根本改善を目指します。外反母趾の施術と併せて巻き爪矯正も行っておりますので、両方の症状でお悩みの方も安心してご相談ください。







