お尻から足の先にかけて走るような痛みやシビレ。立っているとだんだん辛くなり、横になっても痛みが出る。朝起きようとしてもしばらく痛みで動けない。このような坐骨神経痛の症状に悩まされている方は少なくありません。そんな坐骨神経痛に対して「温めると楽になるのか?」という疑問について、当院の見解を参考に、詳しく解説していきます。
坐骨神経痛とは何か
坐骨神経痛は、お尻から足の先まで分布している坐骨神経に沿って痛みやシビレが出る症状です。ここで重要なのは、坐骨神経痛はあくまで「症状」であり、「病名」ではないということです。
当院が考える坐骨神経痛を引き起こす原因となる疾患は多岐にわたります
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎すべり症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 梨状筋症候群
- 仙腸関節炎
これらの疾患が坐骨神経を圧迫したり刺激したりすることで、特有の痛みやシビレが生じるのです。多くの場合、元々腰痛を持っている方が坐骨神経痛を発症することが多いとされています。
温めることの効果とメカニズム
血行促進による症状緩和
坐骨神経痛の症状を和らげるためには、筋肉の血行をよくして、ほぐすことが大切です。そして血行をよくするためには、「温める」ことを行う必要があります。
なぜ温めることが効果的なのでしょうか。筋肉は酸素が上手く供給されなくなると血行が悪くなり、その結果、凝りとなって硬くなってしまいます。特に坐骨神経は多くの血管に覆われているため、寒さや冷えによってこれらの血管が収縮すると、坐骨神経周辺の血行不良が生じます。
温めることで以下のような効果が期待できます:
- 坐骨神経への酸素や栄養素の供給改善
- 痛みに関連する物質の排出促進
- 筋肉の柔軟性向上による神経圧迫の軽減
- 神経機能の正常化
神経も血液からの栄養が必要であり、酸素不足が解消されることで神経機能の正常化が図られるのです。
慢性症状には温めることが基本
一般的に、坐骨神経痛は腰痛がベースになって痛みやシビレが出ているため、痛みの期間が長くなる人がとても多い症状です。つまり慢性症状となります。そのため、坐骨神経痛は「温める」ことが大切なケアになります。
急性の痛みと慢性の痛みでは対処法が異なります。ぎっくり腰や捻挫など急性の場合は「冷やす」、慢性腰痛など慢性の場合は「温める」ことが適しています。多くの坐骨神経痛では慢性的な腰痛とともに感じるようなものが多いので、温めるという対処を取るといいとされています。
効果的な温め方
1,湯船に浸かる
坐骨神経痛に最も効果のある方法は、お風呂の湯船に浸かって温めることです。特に冬場の寒い時期には、神経痛も出やすくなるので積極的に温めましょう。
推奨される入浴方法
- お湯の温度は41℃くらいに設定
- 15分程度お腹のやや上くらいまで浸かる
- 肩まで浸からなくても15分ゆっくりと浸かることで身体がよく温まる
- 温度も熱くすればするほどいいというわけではなく、あまりに温度が高いと心臓に負担をかけるので注意
痛みがあると体が固まってしまうので、患部を良くほぐすようにしましょう。入浴後は身体が温まっているうちにストレッチすると、筋肉や関節の柔軟性を高めることにもつながります。
2,ホットパックや蒸しタオル
ホットパックや蒸しタオルなどを当てて、身体を温めましょう。腰部やお尻を中心に、症状が出ている部位も温めるようにしてください。特に腰部とお尻周辺の温熱療法は効果的です。
3,使い捨てカイロ
使い捨てカイロを用意し、腰やお尻の痛みが強いところに貼りましょう。少し動かして痛い、押して痛いところに貼ってください。使い捨てカイロの使用は、外出時や寝る前など、手軽に患部を温める方法としておすすめです。
ただし、使い捨てカイロを使用する際は、低温やけどのリスクがある点に注意が必要です。患部に直接カイロを当てるのではなく、下着の上から使用したり薄い布を挟んだりして使用しましょう。
4,ふくらはぎを温める
ふくらはぎは第2の心臓ともいわれていて、血液を循環するポンプ作用の働きがあります。このふくらはぎを冷やしてしまうと、坐骨神経痛が出やすくなります。
特に日中活動している時は、歩いたりするのでまだいいのですが、夜寝ている時には冷えやすくなります。坐骨神経痛になると明け方や起床時に痛みが出ることがとても多いのは、寝ている間に下半身が冷えたことが原因です。
そのため、夜寝ている時にはレッグウォーマーをつけて寝るようにしてください。注意点としては、あまり締め付けがきついものを着けると余計に血流が悪くなるので、ほどよく余裕があるものを選びましょう。
5,食事を工夫する
食事を工夫して血行の改善を図ると、身体を内側から温める効果が期待できます。食材は、生のままよりも加熱して食べるほうが、血行の改善に効果的です。
温めるだけでは不十分な理由
多くの方は、痛みやシビレが出ている箇所に対して湿布や痛み止め、電気やマッサージ、鍼の施術などの対処をされてきたのではないでしょうか。しかし、原因が多岐にわたるのにも関わらず、対処法は何も変わらないのでは、根本原因にアプローチはできていません。
当院が坐骨神経痛を改善してきた経緯から、主に3つの根本原因があることがわかりました。
1,背骨と骨盤のゆがみ
体の土台である背骨と骨盤に歪みが生じると、筋肉だけでなく、神経や血管が伸ばされるのでストレスが加わり続けます。この歪みが強くなると、坐骨神経への持続的な圧迫や刺激となり、痛みやシビレを引き起こします。
2,内臓疲労の問題
坐骨神経痛と内臓疲労が関連しているということを、初めて聞いた方も多いと思います。しかし、内臓にも動きがあるので、内臓が疲労すると自然に下垂します(下にさがる)。
内臓下垂が起こると姿勢が崩れるので、筋肉や神経、血管にストレスが加わり血流障害が起きます。神経にも血液の栄養が必要なので、酸素不足となった神経は耐えられなくなり痛みやシビレを発症するのです。
3,重心バランスの崩れ
筋肉疲労や内臓疲労が蓄積されると、体の重心が安定しなくなりバランスが崩れていきます。この崩れたバランスのままで生活や運動を行なってしまうと、どんどんストレスが加わり痛みやシビレが起こるのです。
注意すべきポイント
温めることが必ずしも適切でない場合もあります。今までに痛みを全く感じたことのなかった方に坐骨神経痛が出てきた場合は、とりあえず冷やすようにしてください。炎症が起きている場合は痛みが増幅してしまいます。
一つの目安として、急に痛くなったような急性腰痛に対しては冷やして、慢性的に腰痛や坐骨神経痛がある場合には温めるというものです。炎症が強い場合は「冷やす」、筋肉の硬さやコリが原因であれば「温める」が効果的とされており、症状の状態を正しく判断することが重要です。
また、冷やしたり温めたりしているのに神経痛が強くなってくるような場合には中止してください。温めたり冷やしたりするという行為はあくまでも応急処置になります。
当院の根本改善アプローチ
当院では、原因に対してのアプローチ、そして崩れたバランスを整えることでどこに行っても改善されなかった坐骨神経痛も改善されています。
具体的には以下のようなアプローチを行っています:
- 徹底したカウンセリングと検査:初回のカウンセリング・検査に時間をかけ、丁寧にひとつひとつ検証し分析することで、症状の原因を特定していきます。
- 身体に優しいソフトな整体:お子様や妊娠中の方でも安心して施術を受けられる優しい施術です。
- 根本原因へのアプローチ:カウンセリング・検査で明らかになった原因に対して、的確なアプローチを施すことで、長年お悩みの症状も根本改善へ導きます。
- 施術後のサポート:自宅で簡単に出来るセルフケアや栄養指導などにも力を入れており、施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体を取り戻すことを目指しています。
実際の患者様からは「1年前から続いていた睡眠にも支障をきたす程の坐骨神経痛の痛みが、2回の施術で信じられないほど改善された」「長く続いた臀部の痛みと痺れが改善して、お腹の調子も良くなった」などの喜びの声が寄せられています。
まとめ
坐骨神経痛に対する温熱療法は、血行促進による症状緩和効果が期待できる対処法の一つです。特に慢性的な坐骨神経痛の場合は、湯船に浸かる、カイロを貼る、ふくらはぎを温めるなどの方法で積極的に温めることが推奨されます。
しかし、温めることはあくまでも対症療法であり、それだけで根本的な改善は困難です。坐骨神経痛の本当の原因は、背骨と骨盤の歪み、内臓疲労、重心バランスの崩れなど、痛みが出ている箇所以外にあることが多いのです。
当院では、個々の原因を特定し、包括的なアプローチによる根本改善を目指しています。施術を受けてすぐに良くなるようなこともありますが、原因に対して長く施術を続けていると、体が回復しやすいバランスを覚えてくるようになるため、回復力が上がります。
温めることで一時的に楽になっても、根本的な改善のためには専門家による適切な診断と治療が必要です。長期的な健康回復のためには、セルフケアと専門的な施術を組み合わせることが最も効果的だと言えるでしょう。
あなたが今まで改善されなかったのは、しっかりと原因に対してアプローチできていなかったためかもしれません。不安や焦りを感じている方こそ、あの頃の健康的な体を取り戻していきましょう。







