「病院でレントゲンを撮ったら、膝のお皿の骨が割れていると言われた」 「膝のお皿の外側あたりが痛くて、運動するたびに辛い」 「安静にしていると楽になるけど、また練習を再開すると痛みが戻ってくる」
そんなお悩みを抱えて当院にいらっしゃる方が増えています。もしかすると、それは分裂膝蓋骨(ぶんれつしつがいこつ)かもしれません。今回はこの分裂膝蓋骨について、どんな状態なのか、なぜ起こるのか、どんな症状が出るのかを詳しくご説明します。
分裂膝蓋骨とは?
膝蓋骨(しつがいこつ)とは、いわゆる「膝のお皿」のことです。通常はひとつの骨ですが、何らかの原因で骨の一部が分裂したような状態になることがあります。これを分裂膝蓋骨と呼びます。
レントゲンを撮ると骨がパカっと割れているように見えるため、初めて聞いたときに驚かれる方はとても多いです。しかし後ほど詳しくお伝えするように、分裂しているからといって必ずしも痛みが出るわけではありません。
先天性と後天性の違い
分裂膝蓋骨には、先天性(せんてんせい)と後天性(こうてんせい)の2種類があります。
先天性の分裂膝蓋骨は、生まれつき膝蓋骨が完全にひとつに癒合(ゆごう)しないまま残ってしまったものです。膝蓋骨は成長期に複数の骨化核(こっかかく)と呼ばれる骨の元が集まってひとつの骨になりますが、それらがうまくくっつかずに分裂した状態のまま骨として残ることがあります。この場合、生まれたときからすでに骨が分かれた状態であり、本人が気づかないまま大人になって偶然レントゲンで発見されることも珍しくありません。
後天性の分裂膝蓋骨は、成長期にスポーツなどの繰り返しの負荷が加わることで生じるものです。膝蓋骨には太ももの前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という強力な筋肉がつながっており、走ったり跳んだりするたびにこの筋肉が強く収縮して骨を繰り返し引っ張ります。この牽引力が積み重なることで、骨の一部が分裂した状態になることがあります。練習量が急激に増えたタイミングや、身長が急に伸びる成長期に発症しやすいとされています。
有痛性と無痛性の違い
分裂膝蓋骨はさらに、有痛性(ゆうつうせい)と無痛性(むつうせい)に分けられます。
無痛性の分裂膝蓋骨は、骨が分裂していても炎症がなく、日常生活やスポーツでも痛みが出ない状態です。先天性のものはこのケースが多く、本人がまったく気づかないまま過ごしているケースも多くあります。大人になってから別の理由でレントゲンを撮った際に「そういえばこんな所見がありますね」と初めて指摘されることもあります。
有痛性の分裂膝蓋骨は、分裂部に繰り返しの負荷が加わって炎症が起き、痛みを伴う状態です。スポーツをしている成長期のお子さんに多く、これが実際に治療が必要となるケースです。押したときの強い痛み(圧痛)や、運動中・運動後の痛みが特徴的です。
つまり、「分裂膝蓋骨=必ず痛い」というわけではなく、痛みが出て初めて問題となる、という点がとても重要です。
分裂膝蓋骨のタイプ
分裂膝蓋骨は、骨が分裂している位置によって主に3つのタイプに分類されます。
一般的に使われ
るのはSaupe(ザウペ)分類と呼ばれるものです。
TypeⅠ(下極型) 膝蓋骨の下の端(下極)で分裂が起きているタイプです。このタイプは頻度が低く、全体の約5%程度とされています。
TypeⅡ(外側型) 膝蓋骨の外側(側縁)で分裂が起きているタイプです。全体の約20%程度とされています。
TypeⅢ(外側上極型) 膝蓋骨の外側上部で分裂が起きているタイプです。3つのタイプの中で最も多く、全体の約75%を占めるとされています。有痛性になりやすいのもこのTypeⅢが最も多く、膝のお皿の外側上部を押すと痛みが出る場合はこのタイプが疑われます。
TypeⅢ(外側上極型)膝蓋骨の内側の上方で分裂が起きているタイプです。このタイプは比較的まれなタイプです。
どんな人に多いのか?
分裂膝蓋骨(有痛性)は主に次のような方に多く見られます。
- 10〜15歳の成長期にあるお子さん
- サッカー・バスケットボール・バレーボール・陸上など走る・跳ぶ動作が多い競技をしている
- 女の子よりも男の子に多い(約3〜4倍)
- 練習量が急激に増えたタイミングで発症することが多い
どんな症状が出るのか?
有痛性分裂膝蓋骨では、次のような症状が現れることが多いです。
- 膝のお皿の外側上部あたりを押すと強い痛みがある
- ジャンプや着地のたびに膝に痛みが走る
- 全力で走ると膝が痛む
- 階段の上り下りで膝に違和感がある
- 安静にしていると楽になるが、練習を再開するとまた痛みが出る
似ている症状との違い
膝の痛みはほかにも様々な原因があるため、混同されやすいものをいくつかご紹介します。
オスグッド・シュラッター病との違い オスグッドは膝のお皿の下にある脛骨粗面(けいこつそめん)と呼ばれる部分が痛む症状です。一方、分裂膝蓋骨は膝のお皿そのもの(外側上部)が痛みます。痛む場所が異なるため、正確な場所を確認することが大切です。
ジャンパー膝との違い ジャンパー膝は膝のお皿の下側にある膝蓋腱(しつがいけん)に炎症が起きる症状です。分裂膝蓋骨と同じくジャンプ動作で悪化しやすいですが、こちらも痛む場所が異なります。
いずれも自己判断は難しいため、膝の痛みが続く場合はレントゲンを含めた正確な検査を受けることをおすすめします。
放っておくとどうなるのか?
痛みがあるにもかかわらず無理をして練習を続けると、炎症が慢性化したり、分裂部の隙間がさらに広がったりするリスクがあります。症状が長引くほど改善にも時間がかかることがありますので、早めに対処することが大切です。
一方で、適切にケアをすれば多くの場合スポーツへの復帰が十分に可能です。「骨が割れているから治らない」と諦める必要はありません。
Utile整骨院でのアプローチ
当院では、有痛性分裂膝蓋骨の痛みの原因は膝だけにないと考えています。膝への負担が過剰になる背景には、股関節や足首の動きの硬さ、骨盤・腰椎の歪み、重心バランスの崩れなど、体全体のアンバランスが関わっていることがほとんどです。
そのため当院では、痛みのある膝だけをケアするのではなく、なぜ膝に負担が集中しているのかという根本原因を丁寧に探るところから始めます。初回のカウンセリング・検査でお身体の状態をしっかり把握したうえで、緊張している筋肉の調整・関節の動きの改善・骨盤や重心バランスの調整を組み合わせながら施術を進めていきます。
施術はお子様でも安心して受けていただけるソフトで優しいものです。また、「安静にしているだけでは良くならない」「試合が近くて焦っている」という方も、ぜひ一度ご相談ください。体の状態を整えながら競技を継続できるよう、全力でサポートします。







