「手首が痛いけれど、捻挫した覚えがない」「病院でキーンベック病と言われたけれど、いったいどんな病気なんだろう」——そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
キーンベック病は、一般的にはあまりなじみのない病名かもしれませんが、手首の慢性的な痛みに長年悩んでいる方の中には、この疾患が原因になっているケースが少なくありません。
この記事では、キーンベック病がいったい何なのか、なぜ痛みが起こるのか、どんな人がなりやすいのか、そして当院での治療方針についてわかりやすくご説明します。
キーンベック病とは
キーンベック病とは、手首の関節の中央に位置する
月状骨(げつじょうこつ)と呼ばれる小さな骨
が、血流障害によって壊死(えし)してしまう疾患です。
月状骨は手首の骨(手根骨)の中でも最も重要な骨のひとつで、手首の動きや体重・負荷の分散に大きく関わっています。この骨に栄養を送る血管が何らかの原因で詰まってしまい、骨が少しずつ壊死していくことで、強い痛みや手首の機能障害が起きてきます。
1910年にオーストリアの放射線科医であるロベルト・キーンベックが初めて報告したことから、「キーンベック病」と呼ばれています。
こんな症状はありませんか?
キーンベック病の症状は「ただの手首の疲れ」「腱鞘炎かな」と思われてしまうことも多く、診断がつくまでに時間がかかるケースも少なくありません。
次のような症状がある方は、キーンベック病の可能性があります。
・手首の甲側(背側)の中央付近に痛みがある
特に、手首を動かしたときや物を握ったときに痛みが強くなる傾向があります。最初はぼんやりした鈍痛から始まることが多いです。
・手首を反らせる動作(背屈)がしにくい
手首を上に反らせると強い痛みが出る、または反らせる角度が減ってきたと感じる場合は要注意です。
・手首の腫れや熱感がある
月状骨の周囲が腫れぼったく感じたり、じんわりと熱を持っているように感じる方もいます。
・物を握る力が弱くなってきた
ペットボトルのフタが開けにくくなった、雑巾が絞りにくいなど、握力の低下を感じる場合もキーンベック病のサインである可能性があります。
・何もしていないときも手首がだるく、重たい感じがする
安静にしていても違和感や重だるさが続く場合は、骨の変化が進んでいる可能性があります。
これらの症状が単独で出ることもあれば、複数が重なって現れることもあります。「おかしいな」と感じたら、そのまま放置せずに早めにご相談ください。
キーンベック病はなぜ起こるのか?
キーンベック病の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が複合的に関わっていると考えられています。
血流障害 月状骨は他の手根骨に比べて血管の入口(栄養動脈)が少なく、血流が不安定になりやすい構造をしています。そのため、わずかな外力や繰り返しの負荷によって血流が途絶えやすく、骨壊死が起きやすいと考えられています。
反復する微細な外傷(繰り返しのマイクロトラウマ) 一度の大きなケガではなく、日常的な手首への繰り返しの負荷が積み重なることで月状骨に小さなダメージが蓄積し、血流が障害されるとされています。デスクワークや手を多く使う職業の方、スポーツ選手に多い理由のひとつです。
尺骨の長さのバランス 手首には橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の骨がありますが、尺骨が橈骨より短い「尺骨マイナス変異」のある方は、月状骨への負荷が偏りやすく、キーンベック病を発症しやすいと言われています。
年齢・性別 20〜40代の働き盛りの男性に多く見られます。ただし、女性や若年層・高齢者にも発症することがあります。
キーンベック病の進行ステージについて
キーンベック病はレントゲンやMRI所見をもとに、進行度合いによってステージ(病期)が分類されます。
ステージⅠ:MRIでは変化が見られるが、レントゲンでは骨の形に異常なし。この段階では痛みが出始めていることが多い。
ステージⅡ:レントゲンで月状骨の骨密度の変化(白っぽく見える)が確認できる段階。
ステージⅢ:月状骨が少しずつ変形・圧潰(つぶれる)してくる段階。手首の可動域の制限や握力低下が顕著になる。
ステージⅣ:周囲の関節にも変形が広がり、手根骨全体に影響が出てくる段階。
早期(ステージⅠ〜Ⅱ)であるほど、手術をせずに症状を改善できる可能性が高くなります。「まだ様子を見よう」と時間を置いてしまうと、それだけ回復が難しくなることも事実です。早めのご相談が大切です。
似た症状の疾患との違い
キーンベック病は手首の痛みという点で、さまざまな疾患と混同されやすいです。
・腱鞘炎(けんしょうえん)
腱鞘炎は腱と腱鞘(腱の鞘)の間の炎症で、動かしたときの痛みや引っかかり感が主な症状です。キーンベック病と症状が似ていますが、腱鞘炎は局所への安静や物理療法で比較的改善しやすい一方、キーンベック病は骨への血流障害が根本原因であるため、対応が異なります。
・TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)
手首の小指側に痛みが出やすいのが特徴で、前腕を回す動作(ドアノブをひねる、タオルを絞るなど)で痛みが増します。キーンベック病は手首の中央〜親指寄りの背側が痛むことが多い点で区別できます。
・手根管症候群
夜間に手のしびれが強くなる、親指〜薬指にかけてのしびれや感覚の低下が主な症状です。痛みの部位や性質がキーンベック病とは異なります。
・捻挫後の痛み
捻挫後に痛みが残っている場合、実はキーンベック病が合併していたり、捻挫がきっかけでキーンベック病が顕在化するケースもあります。「捻挫したのにいつまでも治らない」という場合は要注意です。
どんな人がなりやすい?
キーンベック病は次のような方に多く見られます。
・手首を繰り返し使う職業の方 大工・左官・農業・調理師など、毎日手首に負担をかけ続けている方はリスクが高まります。
・デスクワークやパソコン作業が多い方 長時間のキーボード操作やマウス操作は、手首への反復負荷になります。姿勢の歪みによって手首への負担が偏ることも関係しています。
・スポーツをしている方 体操・柔道・テニス・ゴルフ・野球など、手首に強い負荷がかかるスポーツをしている方は注意が必要です。
・過去に手首のケガをしたことがある方 以前の捻挫・骨折の影響が蓄積して、月状骨への血流障害につながることがあります。
・尺骨が短い骨格の方 先天的なものですので自分では判断できませんが、レントゲンで確認することができます。
キーンベック病と身体全体のバランスの関係
キーンベック病というと「手首だけの問題」と思われがちですが、当院では手首単独の問題としてではなく、身体全体の重心バランスや骨格の歪みとの関係からアプローチしています。
たとえば、肩が前に出て巻き肩になっていたり、頸椎(首の骨)に歪みがあると、腕や手首にかかる負荷が増大します。また骨盤の歪みから姿勢が崩れると、手首の使い方のクセにも影響が出ます。手首だけを治療しても痛みが繰り返す方の多くは、こうした身体全体のバランスの崩れが根本原因になっていることがあります。
「何度も再発する」「病院の治療を受けても改善しない」という場合には、ぜひ当院にご相談ください。身体全体の状態を丁寧に検査した上で、根本改善に向けたアプローチをご提案します。
当院でのキーンベック病へのアプローチ
当院では、初回のカウンセリング・検査に時間をかけ、手首だけでなく肩・頸椎・骨盤・重心バランスなど全身の状態を丁寧に分析した上で施術に入ります。
当院独自の「重心バランス整体」により、骨盤・背骨の歪みを整えることで、手首への過剰な負担を根本から取り除いていきます。加えて、手首・前腕周囲の筋肉・筋膜の緊張をほぐし、血流の改善を促す施術も行います。
また、日常生活での手首の使い方・姿勢のクセの改善指導や、ご自宅でできるセルフケアについてもしっかりとお伝えします。「また再発してしまった」とならないよう、施術後のサポートにも力を入れています。
キーンベック病は「早期発見・早期対応」が何より大切です。「病院でキーンベック病と言われたけれどどうすればいいか分からない」「手術は避けたいがどうにかしたい」「正直、諦めかけているけどどうにかしたい」——そんな思いを抱えている方のお力に、精一杯なれるよう取り組んでいます。
まとめ
キーンベック病は、手首の月状骨が血流障害によって壊死していく疾患で、初期は「なんとなく手首が痛い」程度に感じることが多く、発見が遅れやすい疾患です。進行するにつれて手首の変形や機能障害が起きてくるため、早期の対応が非常に重要です。
また、手首だけの問題として捉えず、身体全体の重心バランスや骨格の歪みから根本的な原因を探ることが、再発しない健康な身体への近道です。
「なかなか治らない手首の痛み」「病院に行っても原因が分からない」でお悩みの方は、ぜひ一度、Utile整骨院にご相談ください。丁寧な検査とカウンセリングで、あなたのお身体の状態をしっかりと把握し、根本改善へと導きます。







