バレーボール、バスケットボール、サッカーなどのジャンプ動作を伴うスポーツをされている方の中で、膝の前面に痛みを感じる方は少なくありません。この症状は「ジャンパー膝」と呼ばれ、正式には膝蓋腱炎として知られています。当院では、この症状に対して従来とは異なるアプローチを行い、多くの患者様の根本改善を実現しています。今回は、ジャンパー膝と殿筋(お尻の筋肉)の深い関係性について詳しく解説していきます。
ジャンパー膝とは何か
ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は、膝のお皿(膝蓋骨)とすねの骨をつなぐ膝蓋腱に起こる炎症性疾患です。ジャンプや着地、ダッシュやストップなど、急激な動作を繰り返すことによって、膝蓋腱に生じるオーバーユース障害の一つとして知られています。
特に競技レベルが上がってくる中学生から高校生にかけて発症リスクが高くなる傾向があります。バレーボールナショナルチームのメディカルチェックでは、108名中35名が痛みを訴え、発生率は32.4%という報告もあります。これらの数字が示すように、アスリートにとって非常に身近な症状と言えるでしょう。
初期段階では運動後の痛みから始まり、進行すると運動中にも痛みが出現し、最終的には日常生活にも支障をきたすようになります。そのため、早期の適切な対応が非常に重要です。
一般的な治療の限界と問題点
多くの医療機関では、ジャンパー膝に対して患部への直接的なアプローチが主流となっています。痛み止めの処方、局所への電気治療、アイシング、安静指示などがその代表例です。確かにこれらの処置により、一時的に症状が軽減することもあります。
しかし、これらの対症療法的なアプローチでは、なかなか根本的な改善に至らないケースが多いのが現実です。当院に来院される患者様の中にも、「他の病院や整骨院に通っていても中々改善できない」「良くなったと思ったらすぐに痛みがぶり返してくる」といった経験をお持ちの方が多数いらっしゃいます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、痛みがある膝だけを治療しても、そもそもなぜ膝に負担がかかる身体の使い方になっているのか、という根本原因にアプローチできていないからです。
殿筋とジャンパー膝の深い関係
当院が着目するのは、膝の症状であっても、その根本原因が必ずしも膝自体にあるわけではないという点です。特に重要なのが殿筋(お尻の筋肉)との関係性です。
殿筋の役割と機能
殿筋は人体最大の筋肉群であり、下半身の動きをコントロールする重要な役割を担っています。この筋群には大殿筋、中殿筋、小殿筋があり、それぞれが協調して働くことで、股関節の安定性を保ち、下肢全体のアライメント(配列)を整えています。
大殿筋は主に股関節の伸展(脚を後ろに伸ばす動き)を担当し、中殿筋と小殿筋は股関節の外転(脚を外に開く動き)と内旋・外旋の制御を行っています。これらの筋肉が適切に機能することで、ジャンプの踏み切りや着地時の衝撃を効率的に吸収し、膝関節への負担を最小限に抑えることができます。
殿筋機能低下がもたらす影響
殿筋の機能が低下すると、以下のような問題が連鎖的に発生します
股関節の安定性低下:殿筋が弱くなると、股関節が不安定になり、動作時に適切な支持ができなくなります。
膝関節への負担増加:股関節で十分に力を発揮できないため、膝関節がその分の負担を補おうとします。結果として、膝蓋腱に過度なストレスが継続的に加わることになります。
着地時の衝撃吸収能力の低下:ジャンプからの着地時、本来は股関節・膝関節・足関節が協調して衝撃を吸収しますが、殿筋の機能低下により股関節での衝撃吸収が不十分となり、膝への負担が増大します。
不適切な動作パターンの定着:殿筋が機能しない状態で運動を続けると、膝に負担のかかる動作パターンが身体に記憶され、悪循環に陥ります。
バイオメカニクスの観点から見た問題
ジャンプ動作や着地動作において、殿筋が適切に機能していない場合、膝は内側に倒れ込む動きを示すことが多くなります。これは「ニーイン」と呼ばれる現象で、膝蓋腱への負担を大幅に増加させる要因となります。
また、殿筋の弱化により股関節の伸展動作が十分に行われない場合、大腿四頭筋への依存度が高まります。大腿四頭筋は膝蓋腱を介してすねの骨に付着しているため、この筋肉への過度な依存は、結果として膝蓋腱への負担を慢性的に増加させることになります。
さらに、殿筋が機能しないと骨盤の安定性も損なわれ、身体全体のバランスが崩れます。これにより重心位置が前方に偏り、常に膝で身体を支えるような姿勢となり、立っているだけでも膝蓋腱に負担がかかり続ける状態になってしまいます。
当院での統合的アプローチ
当院では、ジャンパー膝の根本改善のために、患部だけでなく全身のバランスを整える「重心バランス整体」を提供しています。
詳細な評価と原因特定
初回のカウンセリング・検査に十分な時間をかけ、以下の要素を詳しく評価します:
- 骨盤の歪みの状態
- 背骨のアライメント
- 重心バランスの偏り
- 殿筋を含む各筋群の機能評価
- 股関節の可動域と安定性
- 膝関節の動きのパターン
- 血流状態
これらの検査により、なぜあなたの膝に負担がかかっているのか、その真の原因を明確にします。多くの場合、膝の痛みの原因は膝以外の場所、特に骨盤や股関節周囲にあることが判明します。
殿筋機能の回復と強化
評価結果に基づき、殿筋の機能回復を重点的に行います。これには以下のようなアプローチが含まれます:
手技による筋肉の調整:長期間使われていなかった、あるいは過度に緊張している殿筋の柔軟性を回復し、適切な収縮ができるよう調整します。痛みを伴わない優しい手技で、お子様や妊娠中の方でも安心して受けていただけます。
骨盤矯正:殿筋が効率的に働けるよう骨盤の位置を最適化します。骨盤が歪んでいると、いくら殿筋を鍛えても適切に力を発揮できません。
神経系の活性化:殿筋への神経伝達を改善し、適切なタイミングでの筋収縮を促進します。筋肉は脳からの指令で動くため、この神経の通り道を整えることも重要です。
動作パターンの修正:正しい身体の使い方を身体に再学習させます。悪い動作パターンが染み付いている場合、それを修正することで再発を防ぎます。
全身バランスの統合
殿筋の機能回復と並行して、全身のバランスを整えることで、膝への負担を根本的に軽減します。背骨の歪み、重心バランスの偏り、筋肉の緊張パターンなど、身体全体を一つのシステムとして捉え、調和のとれた状態に導きます。
これにより、単に症状を抑えるのではなく、痛みが再発しない身体づくりが可能になります。
予防とセルフケアの重要性
当院では、施術だけでなく、日常生活でのセルフケア指導にも力を入れています。殿筋の機能維持のための簡単なエクササイズや、正しい身体の使い方をお伝えすることで、再発防止を図っています。
また、栄養指導も行っており、筋肉の回復や組織の修復に必要な栄養素についてもアドバイスさせていただきます。施術効果をさらに促進させ、より早い回復を目指します。
まとめ
ジャンパー膝の根本改善には、膝局所への対症療法だけでなく、殿筋を含む全身のバランス調整が不可欠です。当院では、豊富な臨床経験に基づく統合的なアプローチにより、多くの患者様の症状改善を実現しています。
「どこに行っても良くならない」「痛みがぶり返す」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、根本原因に着目した当院の施術をお試しください。
アスリートとして、そして一人の人間として、痛みのない充実した日々を送れるよう、私たちが全力でサポートいたします。痛みのある場所だけでなく、身体全体を診る当院の施術で、本当の意味での健康を取り戻しましょう。







