「膝の内側が痛くて、階段の上り下りがつらい」 「朝起きてすぐ、膝を動かすと違和感がある」 「ランニングをしていたら急に膝の内側が痛み出した」
このようなお悩みをお持ちの方、もしかするとその痛みは鵞足炎(がそくえん)かもしれません。
鵞足炎という言葉は聞き慣れない方も多いと思いますが、実はスポーツをされている方や中高年の方に非常によく見られる症状のひとつです。
今回は、鵞足炎とは何か・なぜ起こるのか・どうすれば改善できるのかについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。ぜひ最後まで読んでみてください。
鵞足炎とは?どこが痛くなるの?
まず「鵞足(がそく)」という言葉から説明します。
鵞足とは、膝の内側やや下あたりにある3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の腱が集まってくる付着部のことをいいます。この3本の腱が扇のように広がって骨にくっついている形が、ちょうどガチョウ(鵞鳥)の足に似ていることから「鵞足」と名付けられました。
鵞足炎は、この鵞足の部分に過度な負荷がかかり続けることで炎症が起き、痛みが生じる状態のことです。
症状が出る場所は膝の内側から少し下のあたり。押すと痛みがあったり、歩くたびにズキっとしたり、特に階段の昇降で強い痛みを感じる方が多いです。
放っておくと慢性化しやすく、「気づけば何ヶ月も痛みが続いている…」というケースも珍しくありません。
こんな方は要注意!鵞足炎になりやすい人の特徴
鵞足炎は特定の人に起きやすいという特徴があります。
スポーツをされている方では、ランニング・サッカー・バスケットボール・水泳(平泳ぎ)・自転車など、膝を繰り返し曲げ伸ばしする動作が多い種目で発症しやすい傾向があります。特にランナーに多いことから「ランナーの膝」とも呼ばれることがあります。
中高年の方では、変形性膝関節症(膝の軟骨がすり減る症状)と合併して起こることがあり、「膝が痛いのは年のせいだから仕方ない」と思っている方の中にも、実は鵞足炎が隠れているケースが少なくありません。
また以下のような特徴を持つ方も発症リスクが高いとされています。
- O脚やX脚など、脚のアライメント(骨の並び)に歪みがある方
- 急にトレーニング量を増やした方
- 柔軟性が低く、内ももの筋肉(内転筋群)が硬い方
- 扁平足など足のアーチが崩れている方
- 急激に体重が増加した方
「自分はスポーツをしていないから関係ない」と思われた方も、日常生活での姿勢や体型の変化によって起こることもあります。思い当たる節がある方は、一度お身体の状態を確認されることをおすすめします。
鵞足炎、なぜ起こるの?本当の原因を考えてみましょう
鵞足炎が起きる直接の原因は「鵞足への過負荷」ですが、当院では「なぜその部分に過負荷がかかってしまうのか」というところまで丁寧に考えるようにしています。
症状が出ている部分だけにアプローチをしても、根本の原因が取り除かれていなければ、良くなってもまた同じ痛みが繰り返されてしまうからです。
鵞足炎の方のお身体を診ていくと、多くのケースで以下のような問題が見つかります。
① 骨盤・股関節の歪みや可動域の低下 骨盤や股関節に歪みやかたさがあると、膝や足首でその分を補おうとして、特定の筋肉に負荷が集中します。鵞足に付着する筋肉はいずれも骨盤から始まっているため、骨盤まわりの状態は鵞足に大きく影響します。
② 重心バランスの崩れ 左右どちらかに体重をかけやすい癖があると、特定の脚ばかりに負荷がかかり続けます。「いつも右脚ばかりが痛い」という方は、重心バランスの偏りが関係していることが多いです。
③ 内ももの筋肉(内転筋群)の過緊張や短縮 鵞足に付着する筋肉が過剰に緊張・短縮してしまうと、引っ張られる力が大きくなり、付着部に炎症が起きやすくなります。
④ 足部(足首・足のアーチ)の問題 扁平足や回内足(かかとが内側に傾く状態)があると、膝が内側に入りやすくなり、鵞足への負担が増します。
このように鵞足炎は「膝の内側が痛い」という症状が出てはいますが、その背景には全身のバランスの乱れが隠れていることがほとんどです。
「安静にしていれば治る」は本当に正しい?
鵞足炎と診断されて、「しばらく安静にしてください」と言われた経験のある方はいないでしょうか。
もちろん、急性期(炎症がひどい時期)には無理をしないことが大切です。しかし、ただ安静にしているだけでは痛みが和らいでも根本的な原因は何も変わっていません。
「痛みがなくなったから大丈夫」と思ってスポーツや日常生活に戻った途端、またすぐに痛みが出てきてしまう…というのはまさにこのパターンです。
大事なのは、なぜ鵞足に負担がかかっているのかを特定し、その原因に対してしっかりアプローチすること。痛みが出ている場所だけを見るのではなく、お身体全体のバランスを整えることが、再発しない身体を作る上でとても重要なのです。
セルフケアで気をつけたいこと
症状が軽い段階や、日常的なケアとして取り入れられることをいくつかご紹介します。
アイシング(冷やす) 痛みや熱感が強い時は、氷嚢や保冷剤をタオルに包んで10〜15分程度冷やしてみてください。炎症を抑える効果が期待できます。
内ももと太ももうらのストレッチ 鵞足に付着する筋肉のこわばりをほぐすために、内転筋群(内もも)やハムストリングス(太ももの裏)を優しくストレッチしましょう。ただし、痛みを感じるほど強く伸ばすのは逆効果になることもあるため、無理のない範囲で行ってください。
インソール(中敷き)の活用 扁平足や回内足が気になる方は、市販のインソールを使ってみることも一つの方法です。足のアーチをサポートすることで、膝への負担を軽減できることがあります。
ただし、これらはあくまでも一時的な症状の緩和が目的です。根本的な原因が残っている限り、セルフケアだけで完全に改善することは難しいケースがほとんどです。
当院での鵞足炎へのアプローチ
当院では、まず初回のカウンセリング・検査をしっかりと行い、どこに問題があるのかを丁寧に特定します。痛みの部位だけでなく、骨盤・股関節・重心バランス・足部の状態など、全身を診ていくことが当院のアプローチの基本です。
鵞足炎は「膝の痛み」ですが、その原因は膝だけにはありません。身体全体のバランスを整えてはじめて、痛みが改善され、再発しにくい身体へと変わっていきます。
「病院でシップをもらうだけで良くならない」 「安静にしていたけど、また痛みが戻ってきた」 「試合や大会までに何とかしたい」
そのようなお気持ち、当院ではしっかりと受け止めます。
諦めかけていても、どうにかしたいという想いがある方はぜひ一度ご相談ください。あなたのお身体の状態を丁寧に診させていただき、必ずお力になります。







