サッカーやランニングなどのスポーツを楽しんでいる皆さん、股関節や鼠径部(そけいぶ)に痛みを感じたことはありませんか?その痛み、もしかすると「グロインペイン症候群」かもしれません。
当院には、このグロインペインで悩む多くのアスリートが来院されています。実は、この症状とお腹周りの筋肉には深い関係があることをご存知でしょうか。今回は、グロインペインとお腹周りの関係性について詳しく解説していきます。
グロインペイン症候群とは?
グロインペイン症候群は、「鼠径部痛症候群」とも呼ばれ、スポーツ活動中に鼠径部(股関節の内側付近)に痛みが生じる症状の総称です。特に10代から30代のサッカー選手に多く見られることから「サッカー病」とも呼ばれています。
主な症状
- 走る、キックする動作での鼠径部の痛み
- 股関節を曲げたり開いたりする時の違和感
- 下腹部や内ももの付け根の痛み
- 片足立ちでのバランス低下
これらの症状が現れたら、早めの対処が重要です。放置すると慢性化し、スポーツパフォーマンスの大幅な低下や、日常生活にも支障をきたす可能性があります。
お腹周りとグロインペインの密接な関係
多くの方が「股関節の痛みだから、股関節だけの問題」と考えがちですが、実はお腹周りの筋肉が大きく関与しています。
体幹筋群の重要な役割
お腹周りには、以下のような重要な筋肉群が存在します:
腹筋群
- 腹直筋(シックスパックを形成する筋肉)
- 腹斜筋(お腹の側面にある筋肉)
- 腹横筋(深層にある体幹安定筋)
腸腰筋
- 腰椎から大腿骨につながる深層筋
- 股関節を曲げる主要な筋肉
骨盤周辺筋群
- 大腰筋
- 恥骨筋
- 内転筋群
これらの筋肉は、骨盤の安定性を保ち、下肢との動きを効果的に連動させる重要な役割を担っています。
なぜお腹周りが関係するのか
人間の身体は、一つの大きな連動システムとして機能しています。お腹周りの筋肉が適切に働いている状態では、運動時の負荷が身体全体に分散され、一部分に過度な負担がかかることはありません。
しかし、腹筋群や体幹筋が弱かったり、機能が低下したりすると、本来は体幹で支えるべき負荷が股関節周辺の筋肉にかかってしまうのです。これがグロインペイン発症の大きな要因となります。
グロインペイン発症のメカニズム
1. 骨盤の不安定性
お腹周りの筋力が不足すると、骨盤を支える力が弱まり、骨盤が不安定な状態になります。特に片足立ちでボールを蹴るサッカーのような動作では、骨盤の安定性が非常に重要です。骨盤が不安定だと、その分の負担が股関節や鼠径部にかかってしまいます。
2. 体幹と下肢の協調性低下
お腹周りの筋肉が適切に機能していないと、体幹と下肢の動きが効果的に連動できなくなります。この協調性の低下により、動作時に股関節のみに負荷が集中し、痛みを引き起こすのです。
3. 筋肉バランスの崩れ
腹筋群が弱いと、身体の前側と後ろ側の筋肉バランスが崩れます。特に、屈筋(曲げる筋肉)優位になると、身体の前側ばかりを使って動くことになり、股関節周辺に過度なストレスがかかります。
4. 代償動作の発生
体幹で支えきれない負荷を、内転筋群や腸腰筋などの股関節周辺筋肉が代償的に支えようとします。この継続的な過負荷により、鼠径部周辺の筋肉が緊張状態となり、炎症や痛みが発生するのです。
当院の根本改善アプローチ
当院では、表面的な痛みだけでなく、その根本原因にアプローチする施術を行っています。
徹底的な原因追求
当院では、初回のカウンセリング・検査に十分な時間をかけ、以下の項目を詳しく評価します:
- 骨盤の歪み:骨盤の位置や傾きをチェック
- 背骨の歪み:姿勢全体のバランスを確認
- 重心バランス:身体の重心がどこにあるかを分析
- 筋肉の緊張状態:どの筋肉が硬く、どこが弱いかを特定
- 血流状況:筋肉への血液供給が適切かを確認
この徹底的な検査により、グロインペインの真の原因がお腹周りの機能不全にあるのか、他の部位にあるのかを正確に判断します。
重心バランス整体
当院独自の「重心バランス整体」では、お子様や妊娠中の方でも安心して受けられる優しい施術で、身体全体のバランスを整えていきます。痛みのある部分だけでなく、体幹機能の改善に重点を置くことで、根本的な改善を目指します。
実際に当院に通われた患者様からは、「他の整骨院では改善しなかった症状が良くなった」「1回の施術で驚くほど痛みが軽減した」という喜びの声が多数寄せられています。
再発防止のためのサポート
施術だけでなく、自宅で簡単にできるセルフケアや、体幹トレーニングの指導にも力を入れています。これにより、施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体づくりをサポートします。
グロインペイン予防のためのセルフケア
体幹を整える呼吸法
グロインペイン予防において、実は呼吸法が非常に重要な役割を果たします。正しい呼吸は腹横筋や横隔膜を活性化し、体幹の深層筋を効果的に働かせることができます。
①インプリント
- あおむけになり、両ひざを立てた状態で寝る
- 床に腰を付ける(この状態で腹圧がしっかり入る状態になります)
- 鼻呼吸で10秒かけてゆっくりと息を吸う(呼吸しているときは常に床に腰を押し付けている状態をキープして行って下さい)
- 10秒かけてゆっくりと息を吐く(この時、肋骨が下に降りていくイメージを持ちながら吐き出します。胸が開いた状態から、肋骨が内側に閉じていく感覚を意識しましょう)
- 息を吐ききったら、10秒間呼吸を止める
- これを5〜10回繰り返す
ポイント:
- 朝起きた時や就寝前に行うと効果的
- 呼吸のリズムを一定に保つ
- 肩や首に力を入れず、リラックスした状態で行う
- お腹の奥(インナーマッスル)の動きを意識する
- 肋骨が下垂していることを意識しながら行う
- 回数制限がないので、時間に余裕がある時に行う
この呼吸法により体幹が安定すると、股関節への負担が軽減され、グロインペインの改善・予防につながります。
※呼吸しているときに腹筋が緩んできてしまう人
・うつ伏せになって両肘を曲げ、体の横につけ、頭を少し上げた状態で鼻呼吸
(身体の下じきにならないように腕は肩幅くらいに開く)
これを何回か繰り返し、仰向けに戻って再度呼吸をして腹筋が緩まなくなっていたら、インプリントを引き続き行う
②ファーストポジション
1.四つん這いの状態から、前腕、手のひらを床につける
2.背中を丸め頭は背中の曲線の延長線上に持ってくる
3.2の状態をキープしたまま、鼻呼吸
腹筋下部に力が入るように意識する
4.これを1分ほど繰り返す
③キャットブリージング
1.四つん這いの姿勢で背中を丸め胸椎の後湾を作り鼻呼吸
2.四つん這いの状態から足が床と垂直になるまで膝を上げる
3.背中を丸めて状態を保ちつつ鼻呼吸
4.次に膝を完全に伸ばし頭を前に出した状態で鼻呼吸
注意:苦しいと感じたらそこで中止し、無理のない範囲で実施してみてください
この呼吸法を行うことで、お腹周りのインナーマッスルが自然と活性化され、骨盤の安定性が高まります。朝起きた時や就寝前に行うと効果的です。
日常生活の意識
- 正しい姿勢を保つ
- 座りっぱなしを避け、こまめに動く
- 片側ばかりに負担をかけない
- 運動前後のウォーミングアップ・クールダウンを徹底する
まとめ
グロインペイン症候群は、単なる股関節の問題ではなく、お腹周りの筋肉群との深い関係性があることがお分かりいただけたでしょうか。
体幹の機能不全が骨盤の不安定性を招き、股関節周辺への過負荷を引き起こし、結果として鼠径部の痛みが発生します。効果的な治療と予防のためには、痛みのある部分だけでなく、お腹周りを含めた体幹機能全体の評価と改善が不可欠です。
当院では、身体全体のバランスを重視した根本治療を行っており、多くのアスリートがグロインペインから回復し、再び全力でスポーツを楽しめるようになっています。
もしグロインペインでお悩みの方は、お腹周りとの関係性を理解した上で、専門的な評価と適切な治療を受けることをお勧めします。痛みに悩まされることなく、思い切りスポーツを楽しめる身体を取り戻しましょう。
グロインペインでお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。一緒に根本から改善していきましょう。











