当院には「坐骨神経痛」や「椎間板ヘルニア」でお悩みの方が多く来院されますが、診察の際に「坐骨神経痛とヘルニアは何が違うのですか?」というご質問をよくいただきます。
実は、この2つは全く異なる概念なのですが、混同されている方が非常に多いのが現状です。今回は、坐骨神経痛とヘルニアの違いについて、わかりやすく解説させていただきます。
坐骨神経痛とは「症状の名前」
まず最初に理解していただきたいのは、坐骨神経痛は「症状」であり、「病名」ではないということです。
坐骨神経痛の定義
坐骨神経痛とは、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて走っている坐骨神経に沿って現れる痛みやシビレのことを指します。
具体的な症状としては、立ち続けると足に痛みが出る、長時間歩くとだんだん痛くなる、前かがみや後ろに反ると辛い、横になっても痛みやシビレが続く、朝起きようとしても痛みで動けないなどがあります。
つまり、坐骨神経痛は「風邪で熱が出る」の「熱」のようなもので、何らかの原因によって引き起こされる症状なのです。
坐骨神経痛を引き起こす原因疾患
坐骨神経痛という症状を引き起こす疾患には、いくつかの種類があります。
主な原因疾患
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 腰椎すべり症
- 腰部脊柱管狭窄症
- 梨状筋症候群
- 仙腸関節炎
このように、坐骨神経痛を引き起こす原因はさまざまなのです。
椎間板ヘルニアとは「病名」
一方、椎間板ヘルニアは具体的な「疾患名(病名)」です。
椎間板ヘルニアの定義
椎間板とは、背骨の骨と骨の間にあるクッションのような役割を果たす組織です。この椎間板の中にある髄核というゼリー状の物質が、外側の繊維輪を破って飛び出してしまった状態を「椎間板ヘルニア」と呼びます。
腰の部分で起こる腰椎椎間板ヘルニアは、主に下部腰椎(第4腰椎と第5腰椎の間、第5腰椎と仙骨の間)に多く発症します。
ヘルニアが引き起こす症状
飛び出した椎間板が神経を圧迫すると、さまざまな症状が現れます。圧迫される神経が坐骨神経につながる神経根である場合、坐骨神経痛という症状が現れるのです。
その他にも、腰痛、下肢の筋力低下、足の先のシビレ、感覚が鈍くなるなどの症状が出ることがあります。
坐骨神経痛とヘルニアの関係性
ここまでの説明で、両者の関係性が見えてきたのではないでしょうか。
「原因」と「結果」の関係
簡単に言えば、椎間板ヘルニアが「原因(病名)」で、坐骨神経痛が「結果(症状)」という関係です。
例えて言うなら、インフルエンザ(病名)によって高熱(症状)が出る、という関係に似ています。
椎間板ヘルニアという疾患によって坐骨神経が圧迫され、その結果として坐骨神経痛という症状が現れるわけです。
すべての坐骨神経痛がヘルニアではない
ここで重要なのは、坐骨神経痛がある人すべてがヘルニアというわけではないということです。
先ほど述べたように、坐骨神経痛を引き起こす原因疾患は複数あります。腰部脊柱管狭窄症や梨状筋症候群、仙腸関節炎など、ヘルニア以外の原因で坐骨神経痛が出ることも多いのです。
逆に、椎間板ヘルニアがあっても、必ずしも坐骨神経痛が出るとは限りません。ヘルニアの位置や大きさ、神経の圧迫の程度によっては、坐骨神経痛以外の症状が主となる場合もあります。
診断と治療における違い
診断プロセスの違い
坐骨神経痛の診断 患者様の訴える症状(お尻から足にかけての痛みやシビレ)から、まず「坐骨神経痛がある」と判断します。その後、何が原因で坐骨神経痛が起きているのかを特定していきます。
椎間板ヘルニアの診断 症状に加えて、MRIやCTなどの画像検査によって、椎間板が飛び出している状態を確認して診断します。
つまり、坐骨神経痛は問診と身体診察である程度判断できますが、ヘルニアの確定診断には画像検査が必要です。
治療アプローチの違い
坐骨神経痛への対処 坐骨神経痛は症状なので、その症状を引き起こしている原因疾患を特定し、その原因に対してアプローチすることが重要です。
椎間板ヘルニアへの対処 ヘルニアは病名なので、なぜヘルニアが発症したのかという根本原因にアプローチする必要があります。
当院が考える真の原因
当院のカウンセリング・検査で分かった、坐骨神経痛やヘルニアの根本原因は主に3つあります。
1. 腰椎上部や胸椎の問題
椎間板ヘルニアは主に下部腰椎に発症しますが、本当の問題は上部の腰椎や胸椎の可動性低下にあることが多いのです。
本来よく動くべき上部の腰椎や胸椎が動かなくなると、その代償として下部腰椎が過剰に動くようになります。下部腰椎は外力に弱い特徴があるため、過剰な負担がかかり続けることでヘルニアが発症してしまうのです。
コルセットで安静にしても、上部の可動性は改善されないため、根本的な解決にはなりません。
2. 内臓疲労
意外に思われるかもしれませんが、内臓の疲労も大きな原因の一つです。
特に肝臓は全身に血液を巡らす重要な役割を担っています。食事やアルコール、薬の服用によって肝臓が疲労すると、全身への血流が悪化します。神経にも血液による栄養供給が必要なため、血流が悪くなると神経が酸素不足となり、痛みやシビレが発症しやすくなります。
また、内臓は疲労すると下垂(下にさがること)します。特に肝臓は臓器の中で最も重いため、下垂することで姿勢が崩れ、背骨への負担が増大します。
3. 重心バランスの崩れ
背骨の問題や内臓疲労が蓄積されると、不良姿勢が続くようになります。不良姿勢のまま生活していると、体の中心軸がずれ、重心バランスが崩れていきます。
重心が崩れると呼吸も浅くなり、体に十分な酸素が取り込めなくなります。酸素不足の状態では体の回復力が低下し、痛みやシビレが改善しにくくなるのです。
当院の重心バランス整体による改善アプローチ
当院では、坐骨神経痛であってもヘルニアであっても、これらの根本原因に対して総合的にアプローチしていきます。
トータルバランスの調整
痛みのある腰や足だけでなく、背骨全体、内臓、そして重心バランスを整えることで、体が本来持っている回復力を最大限に引き出します。
背骨や内臓だけでなく、足や腕など体全体が影響しているため、全身のバランスを調整していきます。血液も全身を巡っているため、足や腕の調整も必ず必要となります。
継続的な施術の重要性
魔法のような即効性はありませんが、原因に対して施術を続けていくことで、体が回復しやすいバランスを覚えていきます。その結果、回復力が向上し、長年悩まされていた痛みやシビレも徐々に改善していきます。
再発予防のサポート
施術だけでなく、自宅でできるセルフケアや栄養指導にも力を入れています。施術効果をさらに促進させ、再発しない健康な身体を取り戻していただくことが目標です。
よくある質問
Q: 坐骨神経痛と診断されましたが、ヘルニアではないのですか?
A: 坐骨神経痛は症状の名前なので、その原因がヘルニアである可能性もありますが、他の疾患が原因の場合もあります。MRIなどの画像検査で確認する必要があります。
Q: ヘルニアがあると必ず坐骨神経痛になりますか?
A: いいえ、ヘルニアがあっても症状が出ない場合もあります。ヘルニアの位置や大きさ、神経の圧迫の程度によって症状は異なります。
Q: ヘルニアは手術しないと治りませんか?
A: 多くの場合、手術をしなくても改善可能です。当院では、体のバランスを整え、自然治癒力を高めることで、手術をせずに症状を改善された方が多数いらっしゃいます。
最後に – 正しい理解が改善への第一歩
坐骨神経痛とヘルニアの違いを理解することは、適切な治療を受けるための第一歩です。
坐骨神経痛は「症状」、ヘルニアは「病名」。そしてヘルニアは坐骨神経痛を引き起こす原因の一つです。
しかし最も重要なのは、どちらの場合も「なぜその状態になったのか」という根本原因にアプローチすることです。痛みのある場所だけに対処しても、根本原因が残っていれば再発してしまいます。
当院では、徹底したカウンセリングと検査で根本原因を特定し、重心バランス整体によって体全体のバランスを整えていきます。
「どこに行っても良くならない」「もう手術しかないのか」と諦めかけている方こそ、ぜひ一度当院にご相談ください。
経験豊富な国家資格取得者が、あなたの症状としっかり向き合い、根本改善へと導きます。
あの頃の健康的な体を、一緒に取り戻していきましょう。







