テニス肘と診断されてから、湿布を貼ったりサポーターをしたり、電気治療やマッサージを受けたりしているのに、なかなか痛みが改善しない…そんな経験はありませんか?
実は、テニス肘がなかなか良くならない方に非常に多いのが「肘だけ」にアプローチし続けているというケースです。
このブログでは、テニス肘と肩・手首の関係について詳しく解説していきます。なぜ肘の痛みなのに肩や手首が関係しているのか、その理由をしっかり理解することが、根本改善への大きな一歩になります。ぜひ最後までお読みください。
そもそもテニス肘とは?
テニス肘(正式名称:上腕骨外側上顆炎)とは、肘の外側にある骨の出っ張り部分に痛みが出る状態のことです。テニスのバックハンドを繰り返すことで起こりやすいためこの名前がついていますが、テニス経験がない方でも発症します。
主な症状としては、物を持ち上げたときや雑巾を絞るときに肘の外側が痛む、ペットボトルのふたが開けにくい、マウスのクリック操作でも痛みが出るなど、日常生活のさまざまな場面で支障をきたすことが特徴です。
原因としては、前腕の筋肉(短橈側手根伸筋など)が使い過ぎによって炎症を起こし、肘の外側の骨にくっついている腱の部分に負担がかかることで痛みが生じます。
しかし、ここで大切なのは「なぜその筋肉に過剰な負担がかかるのか?」という根本的な原因を探ることです。
肩・手首と肘の「連動性」について
人間の腕は、手首・肘・肩という3つの関節が連動して動くように設計されています。
例えばテニスでラケットを振るとき、ボールをつかむとき、重いものを持ち上げるときなど、腕を使うあらゆる動作において、これらの関節はバラバラに動くのではなく、手首→肘→肩という順番で滑らかに連動することが理想的です。
この連動がうまくいっているとき、力は分散されて特定の関節だけに負担が集中することがありません。ところがこの流れのどこか一箇所でも「詰まり」や「硬さ」が生じると、他の関節がその分を補おうとして過剰に働いてしまいます。
これがテニス肘の大きな原因のひとつです。
手首の動きが悪くなると肘に負担がかかる
手関節の動きが硬くなったり、動きに制限が出てきたりすると、手首で吸収できるはずの衝撃や力が、そのまま肘に伝わってしまいます。
たとえばテニスでボールを打つ際、インパクトの衝撃は本来であれば手首がしなやかに動くことで分散されます。しかし手首の動きが悪い状態だと、その衝撃がダイレクトに肘の筋肉や腱に伝わってしまい、繰り返しの負荷によって炎症が起きやすくなるのです。
日常生活でも同様です。パソコン作業や料理、掃除など手首を使う動作が多い方は、気づかないうちに手首が疲弊して動きが制限されていることがあります。その結果、肘への負担が増し続けてテニス肘が発症・悪化するというケースは非常によく見られます。
手首に痛みがなくても、動きの硬さや左右差が出ていることがあるため、「手首は問題ない」と思い込まずにしっかり確認することが大切です。
肩の動きが悪くなると肘に負担がかかる
同様に、肩関節の動きが悪くなっている場合も、肘への影響は非常に大きくなります。
肩は腕の中で最も大きな関節であり、腕全体の動きをコントロールする重要な役割を担っています。肩の可動域が狭くなったり、動きが固まったりすると、本来肩が担うべき動作の一部を肘が肩代わりして行うことになります。
例えばテニスのサーブやスマッシュのような大きな動作では、肩がしっかり動いてくれることが前提で腕全体の動きが設計されています。肩が十分に動かない状態でその動作を行えば、肘に異常な負荷がかかり続けるのは当然のことです。
また、肩こりがひどい方や、デスクワークで長時間同じ姿勢をとっている方は、肩甲骨周りの動きが低下していることが多く、それが肩関節の動きにも影響しています。肩こりとテニス肘が同時に起きているケースもよく見受けられるのはこのためです。
「胸椎」という隠れた原因
肩や手首の話に加えて、もうひとつ重要なポイントがあります。それが「胸椎(きょうつい)」です。
胸椎とは、背骨の中でも肩甲骨の内側に位置する部分のことで、上肢全体の動きの「支点」となる非常に重要な場所です。
肩関節が動けるのは、その根本にある胸椎がしっかり動いてくれているからです。逆に言えば、胸椎の動きが悪くなると肩関節の動きが制限され、その影響が肘にまで波及してきます。
デスクワークや長時間のスマートフォン使用で猫背になっている方は、この胸椎の動きが低下していることがほとんどです。胸椎が硬くなると腕全体の動きの質が下がり、前腕の筋肉や肘の腱に余計な負担がかかり続けてしまいます。
テニス肘の根本改善のためには、この胸椎の柔軟性を回復させることも欠かせない要素のひとつです。
重心バランスの崩れも見逃せない
テニス肘が1ヶ月以上続いている方に多いのが、痛みをかばいながら生活していることで体全体のバランスが崩れているというケースです。
肘が痛いと無意識のうちに患部をかばうため、逆の腕を使い過ぎたり、体を傾けて動いたりするようになります。こうした代償動作が続くと、体の重心バランスが乱れ、さらに別の部位にも負担がかかるという悪循環が生まれます。
せっかく肘の痛みが和らいできても、このバランスの乱れが解消されていないと、スポーツ復帰後にすぐ再発してしまうことが非常に多いです。
痛みの改善だけでなく、体全体のバランスを整えることが、再発を防いで長くスポーツを楽しむために不可欠なのです。
当院ではこれらの原因にどうアプローチするのか
当院では、肘だけを診るのではなく、上記でご説明した「手首・肩・胸椎・重心バランス」という4つの視点から体全体を評価した上で施術を行っています。
手首・肩の関節の動きを整える
検査で明らかになった動きの制限に対して、関節の動きを調整する施術を行います。ボキボキと強く押すような施術ではなく、関節の可動域を無理なく引き出すソフトなアプローチです。
手首の動きが回復することで肘への衝撃が分散され、肩の動きが改善することで腕全体の連動性が戻ってきます。
手首・肘・肩の「連動性」を回復させる
関節の動きを個別に整えるだけでなく、手首→肘→肩がスムーズに連動して使えるように調整していくことが重要です。
それぞれの関節が単独で動けるようになっても、連動性が戻っていなければ実際の動作で肘への負担はなくなりません。当院では、この連動性の回復を施術の中心に置いています。
胸椎(支点)の調整
腕全体の動きの支点となる胸椎の柔軟性を回復させる施術も行います。背骨は一つひとつが積み木のように積み重なっているため、一箇所が硬くなると隣接する背骨にも影響が出ます。胸椎の動きを丁寧に整えることで、肩の動きが改善し、結果として肘や前腕の筋肉にかかる余分な負担が自然と軽減されていきます。
重心バランスを整えて再発を防ぐ
痛みが緩和されてきた段階で、体全体の重心バランスを整える施術を行います。かばい動作によって生じた左右差や体の歪みを解消することで、スポーツ復帰後の再発リスクを大幅に下げることができます。
バランスが整った状態では、体が効率よく動けるようになるため、パフォーマンスの向上も期待できます。
まとめ:テニス肘は「全体」で診ることが大切
テニス肘の痛みは確かに肘に出ますが、その原因は肘だけにあるわけではありません。
手首の硬さ、肩の動きの制限、胸椎の柔軟性の低下、そして体全体の重心バランスの崩れ——これらが複合的に絡み合って、肘への負担が増し続けている状態がテニス肘の本質です。
肘だけにアプローチして改善しない場合は、ぜひこうした「連動性」の観点から体全体を見直してみてください。
当院では、肩・手首・胸椎の動きを丁寧に検査し、一人ひとりの体の状態に合わせた施術を行っています。「どこに行っても良くならなかった」という方もぜひ一度ご相談ください。あなたの肘の痛みを根本から改善するために、全力でサポートいたします。







